Whitman氏は次のように述べている。
HPEはCiscoとDellのどちらと比べても、競争上有利なポジションにあると考えている。たとえばこれによって、HPEの売上高は約280億ドルになるが、これはDellのエンタープライズ事業よりわずかに小さいだけで、しかも焦点が絞られており、イノベーションも優れている。ここでわが社は、Dellとの戦略の違いを明確にしておくべきだろう。
わが社は規模を縮小しており、向こうは規模を拡大している。これが重要なのは、イノベーションとGo To Market戦略においては、スピードと敏捷性が極めて重要だと考えているからだ。第2に、Dellは債務を増やして規模を拡大しているのに対し、HPEは債務を減らしているということだ。HPEには53億ドルのネットキャッシュフローがあり、これらの取引が完了した際には、この金額はさらに大きくなる。このキャッシュフローは投資可能な金額だ。またこの数字は、わが社が株主に配当を行う能力を持っていることを示している。
わたしは、この環境ではDellのようにレバレッジを効かせるのは不利だと考えている。また第2に、われわれは自社のイノベーション、買収、パートナーシップなどを通じて得られる新しいテクノロジを重視しており、自社の技術開発に力を入れている。それに対し、Dellは古いテクノロジを利用し、コスト削減を進めている。確かにこれは、財務的な観点からは、Dellの経営陣にとって大きな成功と言えるかも知れない。しかし、これが顧客にとっていいことかどうかは分からない。
Ciscoに関してはどうだろうか。Whitman氏は、Ciscoにはストレージ事業が欠けており、インフラの統合が進む状況に対応するには限界があると述べている。Whitman氏の主張は、テクノロジスーパーマーケットはうまくいかないというものだ。今日では、スピードが重要だ。「テクノロジが恐るべき速度で変わる中では、力の集中が重要だ。わたしはこれを毎日感じている。かつては、たとえば以前の金融スーパーマーケットのように、テクノロジスーパーマーケットであることが重要だったかも知れない。しかし今後4年から5年は、あらゆることがスピードと敏捷性、焦点が絞られたものに対する力の集中とイノベーションが極めて重要になることは、ほぼ確実だ」と同氏は述べている。
Michael Dell氏の主張がWhitman氏と異なるのは、規模が大きいからといって、敏捷性が失われるとは限らないと考えていることだ。Dell氏は、Dell Technologiesのさまざまな部門が、スタートアップや成長エンジンのように機能していると述べている。Pivotalはその顕著な例だろう。「わが社が重視しているのは、さらに成長し、顧客に貢献しつつ、敏捷性を維持するということだ」とDell氏は語っている。
Michael Dell氏は、特に非公開企業の場合には、この2つを両立させることができると考えている。Whitman氏はそうは考えておらず、HPEの戦略はその考えに沿ったものになっている。この2つの対照的なビジネスモデルの戦いは、10年後には興味深いケーススタディになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。