次世代CIO

なぜCIOがデザイン思考に取り組むべきなのか - (page 3)

高橋秀

2016-09-26 07:00

成功への道のりを再学習する

 3回にわたり、4つのデジタルトレンド、デザイン思考、近代工学について説明してきました。ビジネスの成功に向けては顧客、同僚、そしてサービスのすべてについて再学習する必要があります。その時は今なのです。

デジタル倫理を意識する:デジタルの世界での信頼

 デジタルの世界における倫理「デジタル倫理」を受け入れ、今後、ビジネスのすべての意思決定やサービスの中心に据えてください。昔の仮説や価値体系は通用しません。これからは人間中心で倫理的な視点を持つビジネスが、信頼を獲得、維持し、そして成功するでしょう。

デジタルメッシュを採用する:境界のないプラットフォームの活用

 人やモノ、アルゴリズム、その他関連するものすべてを相互作用するように接続するため、「境界」を破らなくてはいけません。最低でも、書き直す必要があります。これにより、コラボレーションを通じたサービスが提供できます。デジタルメッシュは、価値のある体験を、ユーザーや業界、そしてより広いエコシステムに提供します。

データを消費し価値を得る:考察こそが重要

 ビッグデータやデータ解析、そしてIoTが今後さらに重要になってくるにあたり、組織はデータが持つ情報と、そこから得られる知見をより重要視する必要があります。この考え方は既に広く知られていることかもしれませんが、実践的にはあまり活用されていません。将来と比べれば、今持っているデータ量が一番少ないわけであり、前に進むためには、今、考察を得るための仕掛けを準備することが重要となります。

マエストロになる:混成チームの指揮

 スマートマシンはあらゆる大きさ、形、そして用途でデジタルチームへと参加していき、知識レベルで私たちと同等の存在になっていきます。恐れる必要はなく、これからのデジタルビジネスにとって良いことです。人間だけでは為しえないスマートマシンが加わった労働力を指揮することは、オーケストラがそれぞれ特徴的な音色の楽器を組み合わせて、一つの魅力的な楽曲に変えることと同様です。

 ビジネスの存続がかかっている中、組織は過去に学んだことを捨て、再学習することにより、業績を向上させ、顧客ロイヤリティを高め、自身のブランドの差別化を図ることができます。

次回予告

 次回はもう少し現場に目線を移し、IT部門のあり方について考えてみたいと思います。

高橋秀
アバナード株式会社  ディレクター Japan CTIO (Chief Technology Innovation Officer)
マイクロソフトの最新技術を使ったIT企画、システム開発のエキスパートとして、多くのプロジェクトを担当。現在、日本のCTIO(Chief Technology Innovation Officer)としてグローバルと連携し、アバナードのビジョン「業界をリードするデジタルイノベーター」を実践する、エバンジェリストの職務を担う。1975年東京生まれ。1999年中央大学商学部会計学科卒業。 2016年 Sitecore Technology MVP受賞(2年連続)。

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