「作らない社内システム」

「作らない社内システム」の必要--余計なコードを書かない考え方

大石 良 2016年10月06日 07時00分

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「作らない社内システム」とは何か

 厚切りジェイソンというタレントをご存じでしょうか。彼はもともと米国でコンピューターサイエンスを学んだエンジニアで、日本でもSalesforceを中心としたクラウドインテグレーターのテラスカイに所属していることから、日米両方のIT事情に詳しい希有な存在です。そんな彼は、ことある毎に「日本のITの環境はおかしい」「生産性が低すぎる」とメディアなどで発言しています。

 実際、「ジェイソンがそうした考えを持っても仕方がない」と裏付けるような否定的なデータが(一部古いデータですが)あります。


クラウドサービスの利用内訳(日米比較)出典 平成25年版 情報通信白書のポイント

日本の生産性の動向2015年版から抜粋

 このように、日本のIT活用レベルの低さ、ホワイトカラーの生産性の低さはジェイソンに指摘されるまでもなく数字として表れてしまっています。

 これまでは就業人口が増えることによってそうした生産性の低さをカバーできていましたが、これから迎える人口の減少局面では、こうした「人口ボーナス」は失われてしまいます。このような状況下で経済成長を達成しようとすれば「総労働時間を延長する」か「生産性を向上させる」のいずれか(または両方)が必要ですが、私たちの社会の状況から考えれば、前者の選択肢は採用しづらい。従って、「どうやって生産性を向上させるのか」を考えることが、全ての働く人にとって喫緊かつ最大の課題であると言えます。

 しかし、「喫緊の課題とは言っても日本人は危機に強いから、今度も大丈夫ではないか」という楽観的な考えをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

 たしかに「日本人は危機に強い」と言われてきました。

 明治維新時も、太平洋戦争の敗戦後も、奇跡の復活を遂げてきた。しかし、これらは人口増加局面での危機でした。どんどんはたらいてどんどんインフラを作っていけば経済は拡大し国は富み個人も豊かになる。勝利の方程式が明らかな局面での危機だったわけです。処方箋がはっきりしているので、危機に対するアプローチも単純で、人々のベクトルも合わせやすい。

 ところが、これから私たちに襲いかかる危機はまったく別種のものです。

 人が少なくなり、投資すべきインフラもすでにそろっている。「経済は成長する」という楽観的な見通しに基づく長期の投資はどんどんやりにくくなる。こうした中でも経済のグローバル化は進み、競争相手は海を越えてやってくる。少し会社の舵取りを誤れば、技術ごと海外の会社の手に渡ってしまう。

 こうした現実が目の前にあるわけです。

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