#2:競合他社との差別化要因を理解する
「破壊的変革」の力はしばしば、特定の企業や分野と強く関連付けられる。Amazonは最初に小売業界で、そして次にクラウドコンピューティング分野で有数の企業に成長した。これは小回りのきく企業がいかに自社のリソースを活用し、従来のビジネスモデルを何度も変えていけるのかを示す好例と言えるだろう。
とは言うものの、破壊的変革の影響はあらゆる市場に及びつつある。子どもの支援活動を行う民間の国際団体Save the ChildrenのグローバルCIOであるAndy Williams氏もこの傾向を認識しており、チャリティ分野も今後5〜10年の間にかなり大きな破壊的変革の波にさらされるだろうと述べたうえで、「ウェブ上で生まれた非政府組織が既に影響を与えており、急速に成長しつつある」と述べた。
Williams氏は、同氏のチャリティも他のチャリティすべてと同様に、その対応と差別化要因について考える必要があると述べ、「それが規模の問題なのであれば、われわれはその規模をどのように生かしてサービスを提供すべきかを考える必要がある。自らの差別化要因を理解することは、われわれが取り組むべき戦略上の重要な課題であり、その後にテクノロジ面での対応がついてくる」と語った。
「破壊的変革という波に乗ろうとするなかで、善いものごとを迅速に実現するという本当の価値を見失うリスクが生み出される。われわれは問題の解決と、寄付をしてくれた人々に対して規模を生かしたうえでの成果を見せるということの間で適切なバランスを取る必要がある」(Williams氏)
#3:新しいものごとを試す余地を見つける
ロンドンの自治区であるカムデン区の暫定CIOであるOmid Shiraji氏によると、遊びは近代的な組織に必須とも言える柔軟性と関連があるという。Shiraji氏は現在、IoTといったテクノロジの進歩を同区がいかに活用できるかについて調査を進めているところだという。
Shiraji氏は「これら新テクノロジの多くには、洗練されたビジネスケースが用意されていない」と述べたうえで、「CIOが投資対効果を明確に示すために使えるような数値があるとは限らない。しばしば必要となるのは、思い切った決断と、将来における建設的変化を推し進めるために、これらテクノロジがどのように役立つかを理解することだ」と述べた。
またShiraji氏は、テクノロジを通じて競争上の優位性を獲得しようとするITリーダーには先見の明が必要不可欠だと述べた。CIOは明確なビジネスケースの登場を待つのではなく、できる限り早期にシステムやサービスの検討を始めるべきだという。
同氏は「先進的なテクノロジについて考えるだけの余裕がチームにあってはじめて、この種の会話が可能になる」と述べたうえで、「私とカムデン区の双方にとって、新たなものごとを試す余裕があることはとても重要だ」と語った。