--コンテナが出てきてクラウドが普及して、コンテナなどは対立するものという見方もありました。ですが、新しい技術トレンドにうまく乗っているように見えます。
IT業界に身を置いて30年近くになるが、前にもあったなということは多い。ハイパーバイザ、コンテナ、ともに新しいものではなく、ともにニーズがある。ワークロードを厳密に区画したいという場合はコンテナのような技術が使われており、もうちょっと柔軟に可変する中でリソースを効果的に使いたいときにはハイパーバイザが適している。
例えば、ウェブネイティブなアプリケーションは可変であり、軽量なものとして起動したい。どんどん立ち上げ、用が済んで使わなくなるというサイクルの間隔が短く、常に変動するようなものはハイパーバイザで環境を立ち上げるよりもコンテナの方が良い。技術的には進化したところもあるが、ニーズは両方ある。そういう意味で、一時のハイパーバイザー対コンテナという構図は、全体から見るとそれほどでもない。
データベースでも同じで、「NoSQL対SQL」のように見えたが、結局共存している。技術は進歩するが、使い方自体のニーズは根本的にはあまり変わらない。新しい技術が台頭していくが、アプリケーションと異なり、インフラの場合は元々あるニーズが簡単になくなるわけではない。
開発者は使いたい技術を取捨選択して利用する。VMwareでコンテナを利用できないとなると、VMwareの技術を使わなくなるだろう。今回のテーマにあったように、”フリーダムとマネジメント(自由と管理)”は常に両方必要。今回の発表でVMwareは、コンテナもハイパーバイザーと同じようにシングルウィンドウで管理したいという管理のニーズをうまく取り込んだといえる。
VMwareは提携戦略も巧妙で、競合となりかねない技術を自分たちのパートナーとしてうまく取り込んできた。生き残っていくという意思を強く感じる。
コンテナでは「Photon Platform」と「vSphere Integrated Containers」と2つの選択肢を用意している。これもよく考えた戦略といえる。vSphere Integrated Containersではハイパーバイザーの中でコンテナを動かすとなると、管理者からみて1つで管理できるのは良いが、簡単にフットプリントを軽くしたいという開発者のニーズには応えられない。
そこで用意したのがPhotonだ。基本的にはLinuxで、コンテナを動かすために必要最小限のものが入っており、イメージスタックを切り離すことができた。軽量のものが欲しいというニーズに応えている。
--OpenStackとの関係はどうみていますか? OpenStackでクラウドの開発がおこなわれるケースが見られるが、これがVMwareに与える影響は?
OpenStackは発想としては素晴らしく、日本のベンダーはOpenStackをベースに自社製品やサービスを構築しようとしている。だが、世界的には市場はAWS、Azureが強く、残念ながら市場のリーダーの位置にいるとは言えない状態だ。
だが、ベンダー各社はどこもOpenStackの動きに注目しており、VMwareをはじめどこもOpenStackと連携が保てるようにしている。ある程度の地位を保っており、クラウドにおけるLinuxと形容されることもあるが、今後メジャーになりうるかは未知数である。
VMwareはOpenStackを使っている顧客向けにVMwareの環境と連携できるようにしており、ここもうまく自社の傘の下に取り込んでいるといえる。