オートスケールなど、クラウドならではの機能も活用しよう
クラウドならではの機能を活用することによって、F5製品をよりよい形で使いこなしている例もあるという。例えば、処理負荷の変動に応じてサーバ台数を増減するオートスケール機能と組み合わせる例だ。特に、F5のWAF製品との組み合わせにおいて効力を発揮する。「WAFはサイジング(容量設計)が難しいが、オートスケールでWAFのインスタンスを増やせばサイジングの負担が減る」(帆士氏)
オンプレミスと同じセキュリティポリシーをクラウドでも実現したいという需要もある。ただし、クラウド上にActive Directoryを構築したり、個々のサーバをSAML連携に対応させるといった手順は面倒という状況がある。こうした際に、F5製品が役立つという。例えば、SAML連携させる場合にも、クラウド上のF5製品からオンプレミスの認証システムにリダイレクトすることによって、サーバごとのSAML対応が不要になる。
クラウドインテグレータとの関係を強化し、クラウド移行を促進
オンプレミスからクラウドに移行するに当たり、SIベンダーが大きな障壁となっている、と帆士氏は指摘する。まず、そもそもSIベンダーがシステムを開発しているので、アプリケーションを改修することが難しい。
システムを改修せずにそのままクラウドに持っていくにしても、SIベンダーはオンプレミス主体のビジネスを提供しているため、高額な見積もりを提示されたり、そもそも移行作業を断られたりすることがある。
こうした背景からF5ネットワークスジャパンは、クラウドのマネージドサービスを提供しているベンダーと提携を進めている。例えば、Azureのマネージドサービスを提供するFIXERが、Azure上でF5のセキュリティ製品を提供するサービスを9月8日に開始した。
10月には、クラウドに特価したパートナープログラムも開始する。2017年末までにクラウドインテグレータとのパートナーシップを20社に増やす予定だ。
さらに、F5ネットワークスジャパン内にクラウド専任部隊を設立し、エンジニアを配備するという。「クラウド向けの設定ドキュメントも整備する」(帆士氏)。こうした取り組みによって、2017年末までに60件の受注を目標に掲げる。
クラウドでの利用に合わせてF5製品の開発も進める。「バイモーダルのモード2に当たるアプリケーションのように、頻ぱんにデプロイを繰り返すタイプのアプリケーションに対応させたい」(帆士氏)