国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)は9月8日、「ブロックチェーン・イノベーション2016」と称したセミナーを開催した。基調講演に続いて登壇した日本マイクロソフトの榊原彰氏だ。榊原氏は元日本IBMのエンジニアで現在は日本マイクロソフトの最高技術責任者(CTO)という肩書だ。榊原氏は、マイクロソフトとしてのブロックチェーンへの取り組みとしてMicrosoft Azureの中に「Blockchain as a Service」として包括的なブロックチェーンの実行環境及び開発環境を提供していることを解説。特にEthereumのスマートコントラクトの記述言語であるSolidityについては、Windowsで定評のある開発環境であるVisual Studioのエクステンションとして対応することを紹介した。
日本マイクロソフトの榊原氏
より詳しくは3月に発表された記事を参照されたい。
榊原氏はブロックチェーンを応用したEthereumに代表されるスマートコントラクトにはまだ弱点があると指摘。具体的には時間をトリガーにした実行、ノード参加者からデータを隠すこと、コントラクト内から外部データを取得、エラー発生時におけるロールバックなどを挙げ、マイクロソフトが実際にユースケースを想定してスマートコントラクトに向かっていることを思わせる内容だった。
後半のセッションは、パネルディスカッションがふたつ。最初に「ブロックチェーンと通貨の未来」と題して、日本銀行 決済機構局 FinTechセンター長の岩下直行氏、ソラミツ株式会社の武宮誠氏、GLOCOMの高木氏が参加、モデレータとして東京大学の田中秀幸教授が進行を行った。
東大の田中氏と日銀の岩下氏
まず日銀の岩下氏がデジタル通貨の未来に対して中央銀行として大いに興味を持ていることを紹介し利用人口が増えていることを指摘した。過去のDAO事件の紹介などに続いてパブリックなネットワーク上で実行されるブロックチェーンとプライベートなコンソーシアム型のブロックチェーンについてコメントを行い、日銀としてプライベートなブロックチェーンに対しては意外に否定的な見方をしていることが興味深い内容であった。
ソラミツの武宮氏は自社が参画しているブロックチェーンのプロジェクトについて紹介し、GLOCOMの高木氏は「通貨」とはそもそも何か、「マネーとは譲渡可能な信用である」というFelix Martin著の「21世紀の貨幣論」の一文を引用。通貨をデジタル通貨として信用の交換の手段として使うことを紹介した。そこでイギリス政府が提案する5つのユースケースをもとにこれから通貨と取引、そしてスマートコントラクトにつながる仕事の未来のような部分に今後議論が必要であると解説した。