日本株展望

大型民営化株のIPOレビュー--JR九州はどうなる?

ZDNet Japan Staff 2016年09月27日 11時24分

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今日のポイント

  1. 過去の大型民営化の新規上場(IPO)の振り返り。新規上場時についた初値が公募価格を下回ったのは日本たばこ産業だけ。それ以外は、初値で株価が上昇
  2. NTT株は今でも、IPO時の公募価格を下回っている(株式分割考慮後)。昨年、上場した日本郵政とゆうちょ銀行も公募価格を下回っている。それ以外の大型民営化株は上場後に株価が上昇。JR東・西・東海の3社は、上場後の株価上昇率が高い
  3. JR九州は2017年3月期、鉄道事業が発足以来、初めて黒字化する見込み。その理由は次回解説する

 これら3点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

過去の大型民営化株のIPOレビュー

 10月25日にJR九州が東京証券取引所に上場する。想定される時価総額4000億円を超える大型IPOになる。JR九州について解説する前に、まず、過去の大型民営化IPOの上場後のパフォーマンスをレビューする。

大型民営化上場株のパフォーマンス:1987年2月~2016年9月26日

大型民営化上場株のパフォーマンス:1987年2月~2016年9月26日
(注:IPO価格から2016年9月26日株価までの株価騰落率は、株式分割を考慮して計算。配当金含まず。楽天証券経済研究所が作成)

 上の表で注目してもらいたいのは、赤と青で色をつけた部分(初値騰落率と9月26日までの株価騰落率)だ。初値騰落率は、新規上場時の公募に応募して抽選に当たって購入した株を上場後、最初についた価格で売った場合の損益を示す。1987年2月に新規上場した日本電信電話(9432)は、公募価格119万7000円に対し、初値は160万円に上昇した。初値での上昇率は33.7%だ。

 さまざまな民営化上場株の初値騰落率を見ていくと、日本たばこ産業(2914)だけがマイナスだが、それ以外はすべてプラスになっている。

 次に、9月26日までの株価騰落率を見てほしい。株式分割考慮後で、日本電信電話(9432)はいまだにマイナスだ。上場時の人気は高く、初値をつけた後もどんどん上昇し、一時318万円まで上昇した。ところが、収益はその後、長期的に低迷したため、株価は大きく下落することとなった。

 新規上場時の最初の公募価格で日本電信電話(9432)を取得し、その後、一切売却することなく29年間保有し続けた株主は、9月26日時点の株価でなおマイナス20.8%の含み損をかかえていることになる(株式分割考慮後、受け取り配当金は含まないベース)。

 JR3社は、いずれも上場後の上昇率が高くなっている。当初、成長株として期待されていなかったが、新幹線が成長事業となって、最高益を更新してきていることが評価されている。

 日本たばこ産業(2914)は、当初の公募価格が高すぎたために、初値ではマイナスとなったが、その後大型の海外IPOを成功させ、利益を伸ばしたことから上場後の株価は上昇した。

 次に注目してもらいたいのが、日本郵政グループ3社(日本郵政(6178)、ゆうちょ銀行(7182)、かんぽ生命(7181))だ。昨年11月に上場した。当初は人気が出て、初値で大きく上昇し、その後もしばらく上昇が続いた。

 ところが、日銀がマイナス金利を導入してから株価が急落した。9月26日時点では、日本郵政とゆうちょ銀行は公募価格を割り込んでいる。

JR九州の業績見通し

 10月25日に上場するJR九州だが、分割民営化してから1回も鉄道事業が黒字化したことがない。ところが、2017年3月期に初めて、黒字化する見通しだ。

JR九州の連結業績

JR九州の連結業績
(出所:JR九州の開示資料より楽天証券経済研究所が作成)

 一見すると、とても美しい決算だが、その裏には、2016年3月期に行った特殊な決算処理が絡んでいる。詳しくは次回説明する。

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