ブロックチェーンアプリケーションを考える
平野氏:ウェブアプリケーションとブロックチェーンアプリケーションは、同列なのでしょうか。
朝山氏:概念が違いますよね。今までと同じところにつないで、冗長化されていて、振り分けられていて、クライアント自体から手が挙がっているところを使いましょうというものですから。
杉井氏:ただユーザーから見える部分は、そんなに変わらない。ただバックエンドで冗長性や監査性があったり、ダウンタイムを減らしたり、基盤を盤石にするための技術だと思います。つまり、インフラレイヤの悩みが解決する。だれが一番メリットを得るのかと言ったら、インフラレイヤのお守りをしている人じゃないかと思います。
朝山氏:そうです。逆に言い換えると、仕事がなくなるという捉え方をされている人もいます(笑)。
杉井氏:それでいいんじゃないですか。「忙しい忙しい」と言っている人に、「じゃあその煩わしい部分をなくしてあげる」と言える技術だと思うんです。
小川久範(一般社団法人金融革新同友会FINOVATORS 副代表理事 司会)
小川氏:インフラレイヤの方々がインフラを設計するときには、非機能要件を洗い出して、それに適応する技術を選ぶと思います。ブロックチェーンはどういった非機能要件を満たす技術だと思いますか。
杉井氏:ブロックチェーンと一言で言っていますが、ブロックチェーンの実装はするべき点がいっぱいある。それぞれ特徴があって、適材適所です。いわゆるデータベースで選ぶときのようにOracle、Sybaseなどのうちどれにするか、postgressなどオープンソースにするかという違いよりは、RDBにするのかドキュメントDBにするのかキーバリューストアにするのかという方式の違いくらいです。
小川氏:RDBとブロックチェーンは、どう違って、どう使い分ければいいのか、知りたい方がいるかもしれません。
杉井氏:それはよく聞かれる質問で、価値の保有者を証明して譲渡できます。勘定もそうですね。価値というものを譲渡したり交換したり監査するのは、データベースだとかなりコストがかかります。できないとは言いませんが、コストがかかる。
小川氏:データベースまわりは平野さんがプロフェッショナルだと思いますが、そのへんはいかがですか。
平野氏:本質は価値の問題なんですが、ひとつ言うと「改ざんがしにくい」ということです。ここがポイントになる違いです。管理者が自由に書き換えられるRDBと、管理者でも書き換えが非常に困難なブロックチェーン。この点がポイントして言えると思います。
<4回に続く>