IBMは米国時間9月22日、同社のクラウド「IBM Bluemix」用の、業務目的での開発に使用できる「Swift」のランタイムの提供を開始したと発表した。Swiftを使用したエンドツーエンドのアプリ開発をサポートするのが狙いだ。
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Appleによって開発されたオープンソースのプログラミング言語Swiftは、IBMという新たな味方をつけた。今回の発表を機に、エンタープライズにおけるSwiftの採用機運とともに、エンドツーエンドの開発言語としての信頼性が高まることになるだろう。
IBMのブログ記事によると、同社はAppleがSwiftをオープンソース化した2015年12月からサーバへの移植作業を開始したという。Bluemix版のランタイムには、「Public」と「Dedicated」「Local」というデプロイメント用のオプションが用意されている。IBMによるとこれにより、Swiftで記述されたアプリがIBMクラウドのクライアント側とサーバ側の双方でビルドできるようになるという。なお、このランタイムはSwift 3.0もサポートしている。
Swiftはモバイル機器との親和性の高さで知られているが、この新ランタイムによってクラウド内での採用も増加するはずだ。これこそがIBMの狙いだと考えられる。
同ブログ記事では、世界の企業幹部を対象にした調査で、72%が向こう12カ月間で少なくとも5つのモバイルイニシアティブを計画しているという結果が引用されている。また、企業幹部の42%がハイブリッドクラウドの採用を検討しているという別の調査も引用されている。
Swift関連のニュースを集積するサイト「This Week in Swift」を運営しているNatasha Murashev氏は同サイトで、サーバ側で動作するSwiftの人気について述べるとともに、開発者らはモバイルアプリとウェブアプリの双方で利用できる言語を探し求めていたと説明している。しかし、IBMの今回の動きはモバイルとウェブという範囲を超えたものだ。
IBMのSwift関連の成果で実際にエンタープライズが食指を動かされるのには、同社のSwift向けツールが「IBM Watson」サービス向けや「IBM Cloudant」向け、「Apache Cassandra」向けといった、新しいSwiftベースのパッケージをサポートするという点もあるはずだ。IBMの同記事には、これにより「Swiftの開発者、特にエンタープライズレベルの開発者に対してスピードとスケーラビリティ」が新たにもたらされると記されている。