Rethink Internet:インターネット再考

インターネットは次の四半世紀へ(後編)--新たに必要な「三つのエコロジー」 - (page 3)

高橋幸治

2016-10-01 07:00

 前段で引用したGuattariの思想は「Ecology=生態学」と「Philosophy=哲学」の合成語である「エコゾフィー」という概念に裏打ちされたものである。エコゾフィーは、「三つのエコロジー」に収められている「エコゾフィーの展望」という1992年に沖縄で行われた講演の記録を読んでいただくとより理解しやすいかもしれない。

 混沌のなかで相互浸透作用が行われるというエコゾフィー的な探求の仕方とは、つまり科学的なエコロジー、政治的なエコロジー、環境的なエコロジー、あるいは精神的なエコロジーといったものを相互に結び合わせるエコゾフィーの探求は、これまで、社会的なもの、私的なもの、市民的なものなどを間違ったやり方で区別して壁を設け、政治的なもの、倫理的なもの、美的なものの間に横断的に貫通する結合を打ち立てることが根本的にできなかった古いイデオロギーにとって変わりうるのだと、いまこそ主張することができなければならないのです。

 今回は連載の1回目ということでやや長めの大風呂敷な話になってしまったが、基本的には以降も「インターネット第2四半世紀」というテーマを主軸に据えてさまざまなトピックを扱っていきたいと思う。


 果たして私たちはインターネットの可能性を引き出し切れているのか。ひょっとするともっと可能性に満ちた活用の仕方があるのではないか。だとすればどんな発想が必要なのか。それが阻害されているのであればその要因とは何なのか。

 インターネット25年の歴史の中で見失いかけているもの、なおざりにしてきたもの、いまだ実現に至っていないものなどをつぶさに検証しながら、第2四半世紀に向けてのポジティブなヴィジョンを少しでも提示できればと考えている。

高橋幸治
編集者。日本大学芸術学部文芸学科卒業後、1992年、電通入社。CMプランナー/コピーライターとして活動したのち、1995年、アスキー入社。2001年から2007年まで「MacPower」編集長。2008年、独立。以降、「編集=情報デザイン」をコンセプトに編集長/クリエイティブディレクター/メディアプロデューサーとして企業のメディア戦略などを数多く手がける。「エディターシップの可能性」を探求するミーティングメディア「Editors' Lounge」主宰。本業のかたわら日本大学芸術学部文芸学科、横浜美術大学美術学部にて非常勤講師もつとめる。

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