質疑応答では、SecureWorksと同じセキュリティ領域で活動し、今回の統合でDell EMCの傘下に入ったRSA事業部門(旧RAS Security) との統合も今後あり得るのではないか、との質問も飛んだ。これに対し、Multz氏は次のように答えた。
「現段階ではこれまで同様、それぞれに活動して行く。今後、同じグループの企業としての連携や統合が協議の対象になるかもしれないが、今のところ、そうした動きはない。ただ、SecureWorksは従来からRSA製品のモニタリングを行ってきており、DellとEMCの統合をめぐる動きよりずっと前から両社にはビジネス関係があるので、今後は一層シナジー効果を生み出していける可能性があるだろう」
統合による影響についても、RSAとの統合の可能性についても、現段階で具体的な話は聞けないだろうと予想していたが、真摯に答えようとしていたMultz氏の姿勢が印象的だった。
「AIを活用したセキュリティソフトは他にもあるが、当社の製品はレベルが違う」 (米Cylance Nicholas Warner シニアバイスプレジデント)
米CylanceのNicholas Warnerシニアバイスプレジデント
AI(人工知能)を活用したセキュリティ製品を手掛ける米Cylanceが先ごろ、アジア初の拠点として日本法人のCylance Japanを設立したと発表した。米国本社でワールドワイドセールスのシニアバイスプレジデントを務めるNicholas Warner(ニコラス・ワーナー)氏の冒頭の発言は、その発表会見で、競合他社製品と比べた自社製品の優位性を強調したものである。
Cylanceはエンドポイントでの標的型攻撃やマルウェアの実行を、AIを活用して未然に防ぐ技術を開発。それを用いた企業向け製品「Cylance PROTECT」を提供している。同製品はコードが実行される前にそのDNAを分析し、他社製品では不可能な検知と防御を実現しているという。発表の詳細な内容については関連記事を参照いただくとして、ここではWarner氏の冒頭の発言に注目したい。
会見の質疑応答で、AIを活用した競合他社製品と比べてCylance PROTECTはそんなに先進的なのか、と聞いた筆者の質問に対し、Warner氏は次のように答えた。
「確かにAIを活用したセキュリティ製品は他にもあるが、その大半は、ふるまい検知とその解析を行うだけのものだ。これに対し、Cylance PROTECTはもっと掘り下げてDNAレベルの解析を行い、それに基づいて予測して防御する。つまり、AI活用といってもそのレベルが全く違う。しかも使用するシステムリソースは、検知して対応するだけの従来のアンチウイルスソフトの数分の1なので、導入も容易だ。そうした点で非常に先進的だと自負している」
Warner氏の冒頭の発言は、このコメントの一文を抜粋したものである。さらに同氏はユーザーへのメッセージとして、「AIの活用を強調するベンダーの製品については当社も含めてすぐに信用せず、ぜひ自分たちでそのパフォーマンスを検証していただきたい」と語った。そうすればレベルの違いが一目瞭然に分かる、ということだろう。冒頭の発言ととともに、このメッセージにも自信がみなぎっていた。
Cylance PROTECTをはじめとした同社の製品は、世に出てからまだ2年余りだが、すでに世界で1000社を超える企業に採用されているという。果たしてコストパフォーマンスはどうか。それが分かる導入事例をぜひ見たいものである。