「ブロックチェーンをやれ!」といわれたら
小川氏:そういったところを勉強しながら、ブロックチェーンに取り組まなければいけないと思います。ただ、よくありがちなのが「ブロックチェーンが最近話題になっている」と知った上の方から「ブロックチェーンをやれ!」と指示が落ちてきて、指示を受けた側は困ってしまうということです。そういうとき何からやればいいのか。
大谷氏:私はクラウドとかIoTとかやってきて思うんですが、最近のテクノロジはIT部門のためのものではなくなってきています。特にブロックチェーンは事業を変えていくものなので、「ちょっとブロックチェーン見ておけ」と言うだけだと、誰が担当者か不明な「みなしごPOC(概念実証)」が発生する可能性が高い。「ビジネスの課題があって、企画部がいて、ブロックチェーンでどんな業務課題を解決したいか」というプロジェクトが走ったときに初めて、「じゃあブロックチェーンもできるIT部門も参加させてチームとしてやりましょう」となる。
大谷健(日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 クラウド&サーバー製品マーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャー
たぶん、これから「ブロックチェーン推進部」というものが、各社内でたくさん立ち上がるはずです。ビックデータと一緒ですね。ビックデータとIoTは、今はだいたい推進部がありますが、そうすると業務がわかっている人とテクノロジわかっている人が集まってきます。おそらくブームになるんじゃないかなと思います。IT部門だけで引っ張るものでは絶対ない。
平野氏:両方来るといいんですよね。
大谷氏:両方来ると会社のブロックチェーンプロジェクトはうまくいく可能性がある。まずチームの体制から整えてください、ということです。
川村氏:両方混ぜたケースで言うと、物理的なカードをからめた電子マネーの例があります。旧型のNFCの技術を使って取り組んでいたのですが、すでに10年以上前に課の全員に共有していた情報が漏れてしまいました。そこで鍵を分けて、セキュリティを高めて、と今までの原理でごまかしながら解決してましたが、「コストだけ増えてどうしよう」となっていました。そういう時にブロックチェーンを紹介、複数鍵を基本機能としているため、コスト削減も進みました。これが先ほど仰っていた、技術と現実的な課題の両面から来た話です。こうした目先の問題を解決するケースも出ています。
大谷氏:課題が顕在化していてコスト削減が明らかだと、そのプロジェクトは進みます。先ほどの例もそうですが、明らかにコスト削減できるときはIT部門が主導でも効果があるでしょう。
ブロックチェーンについて把握するべきこと
小川氏:これまでの話だと、IT部門はもちろんですが、事業部門もブロックチェーンについて、ある程度素養を持つ必要があるということでしょうか。
杉井氏:特性だけわかっていればいいんじゃないですか。「こういうことができるものだ」とだけわかっていればいい。
朝山氏:クラウドも、何かわかっていなくて使っている方が90%以上でしょう。ただ今回はコスト面のメリットはもっと大きいと思ってます。その実例として出ると、一気に採用も増えるんじゃないですか。