小川氏:事業部の方が把握しておくべきブロックチェーンの特性というのを、技術寄りではない方にもわかりやすくお伝えすると、どういうものになるでしょうか。
朝山氏:安い(導入、運用コスト)・硬い(改ざんできない)・強い(ダウンタイムゼロ)。
杉井氏:1社や数社だけでやると高くなるので、安いかはわからないですよ。小さくまとまってやると、僕は逆に高くつくと思っています。少なくともコンソーシアムでなければいけない。ここは異論があるかと思うのですが、どうですか。
杉井靖典氏 カレンシーポート 代表取締役 CEO
朝山氏:うちは勘定系の企業寄りの用途もあるので、極論を言うと1社だけのプライベート型の採用でもメリットはあります。ただ、それを信用の面から考えると、1社だけだとメリットは少ないかもしれません。
大谷氏:われわれも、どちらかと言うと杉井さんに近いです。コンソーシアムぐらいでないと。
朝山氏:それは、例えば物流のシステムとか共用型のインフラのことですね。
杉井氏:そうです。同じ事業ドメインのグループだったら、導入する価値が非常に高い。日本の製造業でも、サプライヤーがローカルな企画を作ってもいいんです。ローカルであっても、その中でパブリックになるはずです。それが基本です。
平野氏:うちは1社とか小さい単位でのコスト削減ができると考えています。現時点では限界があるかもしれませんが、われわれが実証実験しているミャンマーのマイクロファイナンスは例は1社です。ああいうところのデータベースが大きくなっていくときに、それにAP(アクセスポイント)を使ってアプリケーションを組むと億単位になる。そうしたところをブロックチェーンでクラウドに乗せて、その上にアプリケーションを組めば、今までよりもコストを削減できます。まだPOCですが、ここからそういうものができる。だからこそ、いろいろなところに適用しやすくなると見ています。今は軽量なDBだけでも高価です。ソフトウェアだけで1億円かかることもある。
平野洋一郎(インフォテリア 代表取締役社長)
杉井氏:高いか安いかについては判断できないんですよね。われわれはブロックチェーンのプラットフォームを作るためにかなりサーバを立ち上げているんですが、ぜんぜん安く感じない。
朝山氏:たぶんわれわれはサービスとしてコストを考えるのと、自社でサービスを展開していてコストの圧縮率が見えているのとで、自信を持ってブロックチェーンを採用をすると安くなると言えるのだと思います。なにもシステムをすりかえるものではなくて、オペレーションを含めた「サービスとしてのシステム基盤」を考えている。人が確認して、人数でリスクヘッジしているところは価格が高かったりします。
つまりシステム面だけで見ていないということですね。たぶんミャンマーの件でもそうでしょうが、人が確認したり、改ざんされたときに対応するという見えないコストがなくなっていく。事業コストが下がるんです。
杉井氏:それは1社でもありえるかもしれませんね。
<5回に続く>