世界中に点在するコンピュータにデータを分散、非中央集権ネットワークにより、データの破壊や改ざんを困難にするブロックチェーンについてさまざまな企業が実証実験を始めている。仮想通貨や勘定系システムだけでない、社会インフラや企業システムへの展開の可能性を識者が語る。今回は5回目(第1回)(第2回)(第3回)(第4回)(第5回)。参加者は以下の6人。
参加者(自己紹介順)
- 小川久範(一般社団法人金融革新同友会FINOVATORS 副代表理事 司会)
- 平野洋一郎(インフォテリア 代表取締役社長)
- 大谷健(日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 クラウド&サーバー製品マーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャー)
- 川村篤史(日本IBM コグニティブ・インダストリーソリューション事業部 決済ソリューション担当部長)
- 朝山貴生(テックビューロ 代表取締役所長)
- 杉井靖典(カレンシーポート 代表取締役 CEO)
ブロックチェーンの今後の展望
小川氏:これまでの議論を踏まえまして、みなさまがたに「今後のブロックチェーンの技術はどう発展するか」「企業の中でこう使われていくのではないか」などの展望を伺えればと思います。
大谷健(日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 クラウド&サーバー製品マーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャー
大谷氏:ブロックチェーンがビットコインから出てきたということで、金融領域で色々と実証実験をやっています。それによってパフォーマンスの課題が解決されると共に、導入が進んでいくと思いますが、時間はけっこうかかるはずです。一方で、非金融におけるブロックチェーンの活用は、ビジネスアイデアや課題とマッチしたときには、サッとイノベーションが実現できる可能性があります。エンターテインメント系でしたり、不正ができないので記録を残していくようなガバメント系でしたり、応用領域の方が先に立ち上がってくるんじゃないかと、希望的観測をしています。いろいろな人が使って頂けることによって安心感も出てくるでしょうし。
マイクロソフトとしては両面ですね。金融でガシガシとハードコアにやっていく部分と、非金融をサポートできる部分。エンタープライズが使いやすい環境が先に立ち上がってきますが、マイクロソフトはそこが得意領域なので、ブロックチェーンを使っていろいろなことを解決していきたいと思っています。