川村氏:いろいろなブロックチェーン技術ができていて、最終的にどうつながっていくのかは非常に気になっています。用途によって使い分けることはありでしょうが、これだけビットコインが使われているのは、ビットコインという1つの大きな決まったものができ上がっているというのが強みなんだと思います。ある意味では集約しながら、できるだけたくさんいろいろな人が使えるブロックチェーンがどんどんできていくのかな、と個人的には思っています。
川村篤史(日本IBM コグニティブ・インダストリーソリューション事業部 決済ソリューション担当部長)
The Linux FoundationのHyperleder Projectの狙いには、そういうところにあるのかもしれません。私の個人的な意向は「Hyperleder」という名前がみなさまに知られて、良さ悪さをご指摘頂いて、オープンソースでやっていくことでみなさまの知恵をお借りしたいです。特に日本のみなさまの知恵が入っていくと、どんどん良いものができると思っています。そういうかたちで、少しずつ良いものが組み上がっていけばいいなということが、こういうオープンソースを推進しているメンバーとして思っています。
先ほどから言われているように、ブロックチェーン技術は「誰も気づかない世界の裏で完全にブロックチェーンが使われている」というようになっていくと思うんです。そういうのを踏まえて、ブロックチェーンの業務やシステムの特性をきっちりと理解して頂いて、良いものができあがると良いと思っています。
平野氏:私はもともとインフォテリアを始めたときに、21世紀型社会や組織を考えていました。20世紀は自律・統制・階層、21世紀は自律・分散・協調。それをやるためには、まずはシステムを超えてデータを連携できる必要がある。大企業だから大きいものができるのではなくて、小さい専門性を持ったものが必要に応じてつながって大きいことをやるという「アメーバ型」の世界です。
平野洋一郎(インフォテリア 代表取締役社長)
そのためには、いろいろなシステムがつながったり切れたりすることが必須だと思って、インフォテリアの製品をつくっています。そのときに「サービスをつないで提供したときに、どうやって報酬を与えるのか」「どうやってルールを作るのか」という自律・分散・協調のオートノミック(自律)のところで人を介さないでやるには、どうすればいいか。そこのミッシングリンクがブロックチェーンなんです。
ブロックチェーンは、価値移転とスマートコントラクトによるルールづけの両方ができます。まだでき上がってはいませんが、小さい単位のオートノミックサービスを可能にするというところがブロックチェーンの素晴らしさです。そうすると世の中に大企業はいらなくなって、小さい専門性を持ったところが必要に応じてつながる/必要に応じて切れるようになる。もしかすると無人のサービスができていくんじゃないか。ここにブロックチェーンの将来を見ていて、だからすべての産業に関係があると考えています。もちろんガバメントにも関係があって、国という単位もなくなると見ています。21世紀なので、あと84年くらいあるんですけど(笑)。そういうところに貢献していく技術だと見ています。そして私は、その進化に貢献したいと思っています。