ブロックチェーンはどのような事に使えるのでしょうか?
ブロックチェーンについての難しい話が続きました。ここからは、ブロックチェーンの仕組みがどのようなことに使えるのかについて、考えていきましょう。
ブロックチェーンは、一部の例外こそありますが、設計上は追加されたブロックが巻き戻るができず、改ざんが難しいという特徴を持っています。この特徴から、次のような情報の管理に使うことが期待できます。
1.貨幣価値の表現
すでにBitcoinなどによって実現している使い方、通貨やポイントなどの分野です。
2.IDとして
ブロックチェーンの仕組みでは、そのネットワーク空間において唯一のIDを発行します。世界中で唯一のIDとなり、そのIDそのものこそが、この後に触れる証明書や紙の発行を無くす仕組みの基礎であり、土台となります。例えば、QRコードをカメラで撮影するとログインできるシステムなども作れますし、ログイン履歴なども残す仕組みができるでしょう。
3.クーポン、バウチャー、オークション、購入の履歴の表現
例えば、ホテルの宿泊予約バウチャーなどを記録する事で、事前に予約購入したことを証明したり、これらの価値記録を前提として、価値そのものをオークションに出品するなどが考えられます。
パブリックブロックチェーンやコンソーシアムブロックチェーンを利用すれば、ID提示によって既に確定した記録を参照、確認するなどの仕組みが、従来よりは低コストに構築可能になるでしょう。
4.登記、遺言、出生、婚姻、転居、コンテンツ権利、賃貸借、投票権利や情報の登録
ブロックチェーンの特徴を生かし、その記録が改ざんされていないことを証明する使い方です。
例えば、住民票の移動などは、従来では一度紙を出力し、それを転居先の自治体に持ち込むことによって登録を行っていました。ブロックチェーンを使えば、IDの提示のみで転出記録の参照が可能になり、紙に頼らない仕組みが実現できそうです。
また選挙では、投票権利を確認するための投票所を設置しなくても正確な投票ができる仕組みが作れそうです。
5.電子カルテ、処方記録、処方記録など
その他の文書でも同様ではありますが、これらのカルテ1号用紙とカルテ2号用紙などの診療録は、法律によって長期間の保存が必要になるケースがあります。
ブロックチェーンを応用すれば、火事や自然災害で情報が喪失したとしても他のノードからデータを復元できます。
また、薬剤の処方記録をブロックチェーンで管理することで、薬局で処方箋を提示しなくても、医師が処方箋を発行していることを証明できる仕組みが考えられます。
6.製造記録、流通過程、真正性認証、貴金属の証明
ブロックチェーンが発行するIDを人間に割り当てるのではなく、製造製品に割り当てる発想の転換もできます。
例えば、ある特定商品にIDを付与して流通経路で追跡可能にしたり、その商品のIDがブロックチェーンに登録されていることによる真正性認証などに利用したりできるでしょう。
7.各種証明書
例えば、電車の遅延証明書などは、その人のIDに発行された記録があれば紙がなくとも発行が証明できるでしょうし、ネットカフェやレンタルビデオ、コンビニの会員証などもIDに紐つけることでカード保持そのものが不要になります。卒業証明書などもIDが記録されていれば、最終学歴校に紙の証明書の発行を依頼することなく、その場で確認できるようになります。