日本株展望

そごう西武で閉店、親会社セブン&アイの次の一手は?

ZDNet Japan Staff 2016年10月06日 10時55分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

今日のポイント

  1. セブン&アイHLDG(3382)がスーパーストア(ヨーカ堂)だけでなく、百貨店(そごう・西武)の閉店にも着手。そごう・西武の買収を主導した鈴木元会長が退任(名誉顧問に就任)したため、百貨店まで含めてリストラが進めやすくなっていると考えられる
  2. セブン-イレブンは国内だけでなく、海外でも成長するビジネスモデルを確立。追随するローソン(2651)、ユニー・ファミリーマートHD(8028)を引き離す
  3. 海外で成長する小売業の評価が高い。「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング(9983)は米国が苦戦するが、アジアで成長。「無印良品」を展開する良品計画(7453)もアジアで成長

 これら3点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

そごう柏店と西武旭川店が9月末で閉店

 セブン&アイが、スーパーストア事業(イトーヨーカ堂)だけでなく、いよいよ百貨店事業(そごう・西武)でも閉店を始めた。同社が、そごう西武を買収して百貨店事業に進出したのは2006年だった。大手スーパーと百貨店の衰退とコンビニの成長が加速するタイミングで、いかにも間の悪い買収だった。

 あの時百貨店を買収していなければ、セブン&アイは今セブン-イレブン中心にもっと身軽に成長を追求することができただろう。あの買収によってスーパーストアだけでなく百貨店のリストラまで行う重荷を背負うことになった。

 その前年、2005年はセブン&アイHLDGがグループ持ち株会社として設立された年だ。それまでは、収益低迷が続くヨーカ堂が親会社で、高収益を稼ぐセブン-イレブンが子会社といういびつな資本構造だった。

 このままでは、ヨーカ堂のリストラが進まないとして、セブン&アイを親会社とし、ヨーカ堂・セブン-イレブンなどを兄弟会社とする今のグループ構造が作られた。鈴木元会長の強いリーダーシップがあったからこそできた、思い切った構造改革だった。それは正しい選択であったと言える。ところが、グループに百貨店までつけ加えてしまったために、重荷を背負うこととなった。

 セブン&アイは今後、百貨店まで含めて聖域なきリストラを加速させる方針だ。今後、さらに閉店が増える可能性もある。百貨店買収を主導した鈴木元会長の退任によって、百貨店のリストラは進めやすくなったと考えられる。

国内でも海外でも強い「セブン-イレブン」というビジネスモデル

 ヨーカ堂を追い詰めたのはセブン-イレブンだ。15年以上前、団塊ジュニア世代が20代だった頃は、セブンは20代若者向けファストフードを中心に展開していた。ところが、団塊ジュニア世代が30代、40代と年齢が上がるに従ってビジネスの中心を家庭食や日用雑貨にシフトし「セブン・プレミアム」という強力ブランドを作り出した。

 15年くらい前“ジャンクフード”のイメージで見られていたコンビニが、プレミアムブランドの供給基地として見られるまで変わった。その結果、40代50代の主婦層の買い物がヨーカ堂から離れ、セブンにシフトした。人口ピラミッドの変化に対応したセブンの進化が国内でコンビニが成長を続ける原動力になったが、それがヨーカ堂を徹底的に追い詰める結果にもなった。

 セブンのビジネスモデルの強さは、現場の声、販売データを重視し、需要密着の商品開発を続けていることにある。売れない商品の販売スペースは徐々に縮小し、最後には撤去される。代わりに新しい商品が常に入ってきて、売れればスペースが拡大する。

 毎日見ていると何も変わっていないように見えるセブンの商品が、1年経つと大きく変わっていることに気付く。そうした現場主導の強さが、入れたてコーヒーやカフェ・ドーナツなどで次々に成功を収める原動力となっている。

 小売業において5年、10年の長期に起こる需要の構造変化を前もって正確に予測することは困難だ。セブンは毎日の販売データを見ながら、商品戦略を毎日少しずつ見直していくことで結果的に5年、10年の大きな構造変化にも的確に対応している。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]