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松岡功の一言もの申す

巻き返しなるか?「Google Cloud」の行方

松岡功

2016-10-06 16:23

 Googleが企業向けクラウド事業に本腰を入れ始めた。果たして、この分野で先行するAmazon Web Services(AWS)やMicrosoftを追撃することができるか。

従来のサービスを新ブランド「Google Cloud」に統合

 Googleが先ごろ、企業向けクラウド事業を再編し、インフラからアプリケーションまですべての関連サービスを「Google Cloud」という新ブランドに統合すると発表した 。これに伴って事業推進体制も大幅に拡充。さらに各産業別のアプローチを強化するため、Accentureと提携したことも明らかにした


Google Cloud担当シニアバイスプレジデントのDiane Greene氏(今年6月に来日した際の記者会見で撮影)

 いよいよGoogleが企業向けクラウド事業に本腰を入れ始めたというのが、筆者の印象である。厳密に言えば、Googleとしてはかねて注力してきたのだろうが、競合するAWSやMicrosoftと比べると、企業向けという意味では迫力不足が否めない。

 実は、今回の動きには伏線があった。同社の最高経営責任者(CEO)であるSundar Pichai氏が今年2月、「2016年は企業向けクラウドサービスに積極的に投資する」と宣言し、AWSやMicrosoftに真っ向から挑む姿勢を明らかにしていたのだ。

 また、その態勢作りに向け、2015年11月にDiane Greene氏を企業向けクラウド事業の責任者として招き入れた。IT業界で企業向け事業に25年間携わってきたGreene氏は、VMwareの共同創業者として10年間CEOを務めた経歴を持つ人物である。今回のテコ入れはまさしく同氏が陣頭指揮を執ったものである。

パートナーやユーザーとのエコシステム作りが課題に

 筆者はこの6月、Greene氏が来日した際にGoogle日本法人が開いた記者会見で、「クラウドサービスにおいて、GoogleはAWSやMicrosoftに後れを取っているようだが、どう巻き返すか」と聞いてみた。すると同氏は、「Googleは16年前からクラウドを運用し、順次サービスを提供してきており、その豊富な内容や利用者数の推移から見ても、後れを取っているとは思っていない」と切り返した。そのうえで、「クラウドへ移行した企業の割合はまだ1割足らず。本格的に普及するのはまさにこれからだ」との認識を示した。

 今回のテコ入れはこの認識に基づいて「これからが勝負」とばかり踏み出したものと見られるが、筆者がかねて気になっていたのは、Google自体に企業向けビジネスの経験とノウハウの蓄積が乏しいように見受けられることだ。それを充足するためには、内部の態勢作りもさることながら、企業向けビジネスに長けたIT企業と手を組む必要があるのではないかと思っていたところ、今回その動きも明らかになった。Accentureとの提携がそれである。

 この組み合わせは「妙手」である。ビジネスにおいて補完関係があり、グローバルに展開できる。ただ、問題は両社の関係がどこまで深まり、思惑通り、あるいはそれ以上の成果を上げることができるかどうかである。

 さらに、企業向けクラウド事業では、パートナー企業やユーザー企業とのエコシステムも成功の決め手となる。AWSやMicrosoftの同事業における躍進はこのエコシステムの存在が大きい。果たしてGoogleはどのようにそうしたエコシステムを形成していくのか。ただ、VMwareで巨大なエコシステムを作り上げてきた経験のあるGreene氏なら、その勘所は心得ているはずだ。「Google Cloud」の巻き返しは、まさしく同氏の手腕にかかっている。

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