エンジニアを本物の「IT人材」にするために必要なこと
この連載では技術力だけでなく、プログラムにはないような人間社会における不条理にも立ち向かえる「IT人材」の重要性を重ねてお伝えしてきました。
現在、世の中にいるエンジニアの多くは、IT業界で仕事に取り組んでいるものの、経済や社会の仕組み、利益を生み出せるサービスに対する考え方などをきちんと獲得しないままになっており、ビジネスを理解している人間のもとでエンジニアリング業務に終止する、という構図となってしまっています。
しかし、元来論理的な思考を繰り返し、さまざまな問題解決にあたっているエンジニアこそ、本質的に経営者に近く、かつ活躍できる素養があるというのが私の考え方です。
ITで先をいく米国を見れば、エンジニア出身の経営者(資産数十億というビリオネア級)が数多くいます。一方、日本にまだまだエンジニア出身の経営者が少ないのは、ITを活用したビジネスロジックを理解している「IT人材」が少ないことに起因しているからだと考えています。
エンジニア出身者が起業したり、あるいは組織をマネジメントしたりしながら、エンジニアの仲間たちと共に新しいサービスを作り上げていく。そんな景色が当たり前になれば、もっとIT業界が盛り上がり、ひいては日本に強い経済力が戻ってくるはずです。
ビズリーチはまだまだ世の中にインパクトを与えるには小さな存在ですが、ポテンシャルがあるエンジニアにはさまざまな課題やチャンスを与え、それを乗り越える成長の場を用意し続けることで、会社、ひいては日本全体がエンジニアの輝ける、エンジニア天国にしていきたいと考えています。
エンジニアは、システムを構築することだけが仕事。そんな固定観念を打ち破り、エンジニアにどんどん挑戦する機会を与え、育てていく会社が増えてくれることを、私自身、強く願って止みません。「良いエンジニア」、そして真の「IT人材」を業界全体で育て、エンジニアがもっと楽しめる社会を作っていくことを、ビズリーチはこれからも追求し続けていきます。
- 竹内 真 / 株式会社ビズリーチ 取締役 兼 インキュベーションカンパニー長 兼 チーフプロダクトオフィサー
- 2001年、電気通信大学情報工学科を卒業後、富士ソフトABC株式会社(現・富士ソフト株式会社)に入社し、エンタープライズサービスを中心にさまざまなソフトウェアを開発。2007年に富士ソフトを退職後は、フリーエンジニアとして株式会社リクルートの基盤フレームワーク開発などに従事。2008年には株式会社ビズリーチの創業に参画し、CTOとしてサービス開発を手掛ける他、自社のエンジニア採用や人事制度構築を行う。現在は株式会社レイハウオリ代表取締役と株式会社ビズリーチの取締役を兼任する。社外では、mobyletメインコミッターなどのOSS活動や、各種講演会やセミナー講師としても活躍。 運営サービスは、日本最大級の求人検索エンジン「スタンバイ」、管理職・グローバル人材の転職サイト「ビズリーチ」、20代のためのレコメンド型転職サイト「careertrek」 など