ユーザー体験と内製化の関係

最高のユーザー体験を創出するための内製化--マネーフォワードの開発体制 - (page 2)

浅野 千尋

2016-10-20 07:00

 新たな技術を生み出し、サービスを発展させ、社会へ貢献していくためには、その知見を社内にしっかりと蓄積して活用していく必要があります。したがって、このValueを達成するためには内製化は手段として当然であり、創業時から一貫して社内で開発しています。今後新たなコア・テクノロジを生み出していく際も、同様に内製化を前提としたチーム体制を整えていきます。

 次に「User Focus」ですが、マネーフォワードではユーザー体験を最も大切にしているということを表しています。サービスを構成するあらゆる技術や施策も、最終的には全てユーザーに貢献できているかどうか、という観点で判断しています。しかし、自分達でどれだけユーザーを中心にして判断したとしても、それが正解かどうかは企画段階ではわかりません。実際にリリースをしてみて、ユーザーからのフィードバックを受け、それをベースにさらに良いものにしていくというユーザーとのコミュニケーションこそが本質的な「User Focus」だと考えています。

 開発チームとユーザーの距離をなるべく近くし、密度の濃いコミュニケーションを継続的に取れるようにするためには、結果的には内製化のチーム体制を構築することが必要になってきます。当社にとっては、内製化のチーム体制でサービス開発を進める方が、ユーザーの声が自分たちに届きやすいという判断をしたからです。ユーザーの声が届かない所にいては本当に価値のあるサービスを作れないため、ユーザーとの距離が近い開発体制を大事にしようという判断の結果、内製化を選択しています。顧客の声を聴くためにエンジニアが直接ユーザーの元へ訪問し、ご要望をヒアリングすることもあります。

最高のユーザー体験を創りだす「ビジョンを文化にする」ということ


 前述したとおり内製化は手段であり、内製化しただけで最高のユーザー体験を生み出すことはできません。当社では内製化に加えて、そのチームにおいて「ビジョンを文化にする」という観点を根付かせることで、チームの一体感を醸成しています。

 マネーフォワードでは、まず経営陣が考えていることや実現したい世界をビジョンとして定期的に発信しています。外部環境の変化や社会的な大きな流れを汲んだ数年先の未来を発信することで、自分達はどこに向かってサービスを作っているのかを意識できるようにし、ひとつのチームとして能動的に動けるようにしています。ここまでは多くの企業がやっていることですが、当社ではさらに、ビジョンを受け取るだけでなくメンバーの一人ひとりがビジョンを発信できるような環境づくりにも力を入れています。自分が何を実現したくてマネーフォワードにジョインをしたのか、今後どういうサービスやチームにしていきたいのかといった観点で誰でも個人のビジョンを発信できる場を用意することで、相互理解にもつながり、より一体感をもってサービス作りに取り組めるようになります。

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