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1年の面談は10分--成長機会が少ないために従業員の愛着が薄い日本企業

日川佳三

2016-10-11 17:27

 組織人事コンサルティングを手がけるエーオンヒューイットジャパンは10月11日、業績に強い影響を与える要素として、会社への帰属意識すなわち“エンゲージメント”に関する調査結果を報告した。日本は他国と比べてエンゲージメント指数が低いという。エンゲージメントを高めるツールとしてタレントマネジメントが有効であるとした。

 会見では、SaaS型タレントマネジメントシステム「Cornerstone」が紹介された。提供する米Cornerstone OnDemandのアジア太平洋日本でバイスプレジデント&ジェネラルマネージャーを務めるFrank Ricciardi氏が事例を踏まえて同システムの機能を説明した。

エーオンヒューイットジャパン シニアコンサルタント 梁志栄氏
エーオンヒューイットジャパン シニアコンサルタント 梁志栄氏

世界平均より低い日本のエンゲージメント

 エーオンヒューイットジャパンの親会社である米Aon Hewittは、従業員のエンゲージメントに着目した「グローバル従業員エンゲージメント調査」をグローバルで定期的に実施。過去の調査からは、エンゲージメントが企業の業績と強い相関があることを示しているという。

 エンゲージメントとは、組織や業務への愛着の気持ち、誇りと情熱、頑張る気持ちなどのこと。エンゲージメントの数値を出すにあたって、自社に対してポジティブなことを語るかどうか、辞めることなく自社に留まるかどうか、努力するかどうか、という3つの行動パターンをもとに測定した。

 エーオンヒューイットジャパンでシニアコンサルタントを務める梁志栄(ヤン・ジィヨン)氏は、エンゲージメントの強さにおいて、グローバル平均と日本企業の違いに触れた。直近の調査では、グローバル平均のエンゲージメント指数が65%と高めであるのに対して、日本は36%と低かった(写真1)。

写真1:グローバルでの従業員エンゲージメントの動向
写真1:グローバルでの従業員エンゲージメントの概要

能力開発や成長の機会が与えられることが重要

 日本企業のエンゲージメントが低い理由を梁氏は「成長の機会が与えられていない」と分析する。日本人が会社に求めていることのトップ3は、キャリア機会(成長の機会)、業績管理(正しい評価)、イノベーション(従業員からアイディアを出させているか)――となる。ここから分かるのは「従業員は自身の成長を期待している」(梁氏)ということだ。

 これに対して日本企業の多くは「1年を通じて10分程度の面談で評価を教えてもらって、それでおしまい。従業員は失望感を感じる。成長を促すサポートは得られない」(梁氏)

Cornerstone OnDemand アジア太平洋日本地域バイスプレジデント&ジェネラルマネージャー Frank Ricciardi氏
Cornerstone OnDemand アジア太平洋日本地域バイスプレジデント&ジェネラルマネージャー Frank Ricciardi氏

 従業員も会社も能力を成長させるという共通の目標を持っている。人材管理の仕組みが、これに応えられるかどうかが重要であり、「従業員と会社がそれぞれ求めているもの同士をいかにスムーズに結ぶのかが、エンゲージメントを向上させるカギ」(梁氏)となる。

能力開発を軸にタレントマネジメントが有効

 エンゲージメントの数値を高く維持するためには、従業員から見て、キャリアパスが見えやすいこと、能力を高める方法が提供されていること、仕事の環境などが必要になる。企業は、個々の従業員が持つ能力を正しく把握した上でどう活用できるかを考えなければならない。さらに、SNSなどを活用して従業員と密度の高いコミュニケーションを取ることがエンゲージメントにつながる。

 「タレントマネジメントがエンゲージメントを推進する。タレントマネジメントはビジネス戦略だ」――。米Cornerstone OnDemandのRicciardi氏は、タレントマネジメントの意義をこう力説する。会見では、事例ベースでCornerstoneの機能を紹介した(写真2)。

写真2:タレントマネジメントの利用価値
写真2:タレントマネジメントの利用価値

 タレントマネジメントとは、人材計画の立案や採用、評価、目標管理、学習管理、人材配置など人材の活用に関わるあらゆる業務を支援するシステム。中核機能は人材の可視化で、どの従業員がどのような経歴とスキルを持っているかといった人材データベースを構築して社内で共有する。現場の管理職や従業員、人事担当者などあらゆる立場のユーザーが利用する。

 タレントマネジメントシステムの中でのCornerstoneの特色は、従業員の能力開発を軸に据えていることだ。eラーニングや研修といった定型的な学習を支援する学習管理機能と、非定型な学習を支援するSNS機能に注力している。SNSでは、ある分野の専門家(エキスパート)を設定することで効率的にナレッジを活用できるという。

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