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ブロックチェーン

ブロックチェーンは「印鑑による契約」「紙の証明書」を代替する:日本MS 廣瀬氏

阿久津良和

2016-10-12 07:11

 10月4~7日に幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2016」カンファレンスでは、IoTや近未来のテクノロジに関するさまざまな取り組みが紹介された。その中でも特に興味深い講演が、ブロックチェーンを取り巻く動向を2部構成で解説した「ブロックチェーンは何処へ行くのか~これからの可能性を探して~」である。

 1部の伊藤忠グループのセッションに続き、2部では、日本マイクロソフト クラウドプラットフォーム技術部 テクノロジースペシャリスト 廣瀬一海氏が登壇。ブロックチェーンの要素技術と、Microsoftが目指すブロックチェーンの展開について解説した。


日本マイクロソフト クラウドプラットフォーム技術部 テクノロジースペシャリスト 廣瀬一海氏

ブロックチェーン技術の3要素

 ブロックチェーン技術は、「P2P(Peer to Peer)」「Proof of Work」「アドレス・ハッシュ・電子署名」の3要素が基本になる。

 P2Pは、複数のコンピュータ同士が通信を行う非中央集権型ネットワークだ。「離れた場所で高可用性を持ったデータを作成・維持するためには、一昔前は専用線などを用意していた。だが、P2Pを利用することでデータの冗長性を保持できる。途中でトラブルが発生しても、他のコンピュータ(ノード)がデータを保持していれば、容易に復元できる」(廣瀬氏)

 Proof of Workは、ブロックの改ざんに対する耐性とブロックの不変性を維持する仕組みであり、ブロックチェーンの計算方法として用いられている。仮想通貨を偽造する行動に価値をなくするために“仕事量”を増やすものだが、「ZDNet Japanの連載記事に詳しく書いた」(廣瀬氏)と述べているので、記事「何に使える?生活を変えるブロックチェーン技術の可能性」をご覧いただきたい。

 そして電子署名などは「アドレスはID、電子署名は印鑑に置き換えると分かりやすい。書類に印鑑を押すように(ブロックチェーンの世界では電子署名で)送信者の安全性を担保する」(廣瀬氏)という。


ブロックチェーンの要素技術

ブロックチェーンで“印鑑による契約”を電子的に証明できる

 ブロックチェーンは機能や役割に応じて、「ブロックチェーン1.0」「ブロックチェーン2.0」という呼称が用いられている。ブロックチェーン1.0は、ビットコイン技術を用いた価値情報の移転記録に使われていた。ブロックチェーン2.0は、スマートコントラクトやアセット(資産)記述による取引や手続きの登録、履行の記録に用いられる現在のスタンダードである。

 ここでいうスマートコントラクト(契約の自動化)は、自動販売機などにお金を払うと特定のドリンクが出てくるように購入=契約を自動化する、法学者・暗号学者のNick Szabo氏が提唱した仕組みだ。「スマートコントラクトは契約や購買、証明などの行為を自動化するもの。例えば、これまで不動産屋に行って印鑑を押してしたような契約を、不動産屋に行かずに電子的に証明できるようになる」と廣瀬氏は説明した。

 さらに、ブロックチェーンをビジネスに応用できる分野として、廣瀬氏は、ID認証や、紙を発行して本人であることを担保する仕組みの代替としての用途などを挙げた。「ブロックチェーンを利用するユニークなアドレスなどが印鑑に相当するため、証明書や紙の発行をなくす仕組みの土台となる」と廣瀬氏は説明し、このようなID認証、本人確認の用途こそ、ブロックチェーン利活用でもっとも重要な部分だと強調した。

 また、「購入履歴もユニークになるため、何らかのチケットを他者に譲る=価値記録の移動が可能になる」と廣瀬氏。その他にも、市町村の転出転入、追跡可能性の実現、医療記録の発行などわれわれの生活で手間になる部分をブロックチェーンで置き換えることが可能だという。

Microsoftが目指すブロックチェーン 3.0

 最後に廣瀬氏は、Microsoftのブロックチェーンの取り組みを紹介。同社が提供する「Azure Blockchain as a Service」では、Azure上にブロックチェーンソリューションをわずか十数分で展開可能だとアピールした。さらにVisual Studioを用いた開発環境やクラウドを使って、即座にブロックチェーンの開発や検証、本番用の環境を構築できると述べつつ、「ブロックチェーンの癖を知る上でFail Fast(どんどん失敗しよう)という考え方を持つべき」(廣瀬氏)だと、開発者がブロックチェーンに取り組む姿勢を語った。

 また、Microsoftのブロックチェーン構想「Project Bletchley」(関連記事)の方向性にも言及。「あくまでも予定だが、エンタープライズ利用に向けたチャレンジとして、既存システムとの連携や、セキュリティの担保などを検証していく」(廣瀬氏)。また、ブロックチェーンネットワークの運用と管理に誰が責任を持つのかなど、顕在化しているいくつかの課題についても、Bletchleyの中で解決策が検討されているという。「人的な共同事業体を構成し、同じネットワークを共有するといった取り組みが必要」だと廣瀬氏は指摘した。

 さらに、ブロックチェーン 2.0の次の世代の“ブロックチェーン 3.0(仮)”では、よりビジネスや生活での活用の幅を広げるための仕組みとして、ブロックチェーンで保持されるデータを個人情報などと安全に紐付ける仕組みが検討されている。


「ブロックチェーン3.0」に必要な要素。個人情報を別ロジックで紐付けするCryptletsが重要になる

 ここでMicrosoftが開発しているのが「Cryptlets」(関連記事)というものだ。廣瀬氏は、Cryptletsのイメージとして「ブロックチェーン上に本のページ数だけ記録して、必要なページ数を信頼できるクラウド(Cryptlets)へ信頼できる方法で問合わせる」と説明した。同社では、Cryptletsを取り込んだProject BletchleyをAzure Active Directoryを始めとするMicrosoftの各種サービスと連携させることで、ブロックチェーン3.0の実現を目指すという。

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