第2段階は、「AI相互間のネットワークが形成され、社会の各分野における自動調整・自動調和が進展」する段階です。1980年代から90年代にかけて、コンピュータそのものの高度化が進む一方で、さまざまなコンピュータとコンピュータを結びつけるインターネットも発達しました。
高性能なコンピュータをつくること自体が重要であることは間違いありませんが、インターネットは今や社会のあらゆる分野で広く浸透し、極めて大きな影響を及ぼしています。AIについても、AIの性能を向上させること自体が重要であることは間違いありませんが、AI同士がつながってネットワークを形成していくことこそ指数関数的ともいうべき急激な影響を広く社会・経済の各分野にもたらし得ると考えられます。
第3段階は、「人間の身体(脳、手足など)とAIネットワークシステムとが連携することにより、人間の潜在的能力が拡張」する段階です。この段階は、第2段階の後でなければならないというわけでは必ずしもなく、AIネットワークシステムを利活用する分野によっては第1段階から直結して到達することもあり得ます。この段階においては、人間の身体とセンサやロボットなど駆動装置とがつながることによって人間の身体の機能が拡張すると見られる中、人間の身体とつながるセンサや駆動装置がAIネットワークシステムとも連携していくことにより、人間の能力が総合的に向上することが期待されます。
これらAI相互間のネットワークの形成や、人間の身体とAIネットワークシステムとの連携が社会のさまざまな分野で進んでいった上で、第4段階として「人間とAIネットワークとが共存」するという段階に至るとされております。社会のありとあらゆるところにAIが浸透し、AIとAIがつながっていて、AIと人間もつながっており、ひいては人間と人間もつながっているという段階です。
この段階では、人間とAIネットワークシステムがシームレスに連携し、ほとんどすべての人にとってAIネットワークシステムが空気のように、ときには執事、家族や友人のように不可欠な存在となっていることが想定されます。

AIネットワーク化の4つの進展段階と顕在化するリスク(リスクについては後編で紹介) 出所:総務省 「AIネットワーク化検討会議」中間報告書 4.15