Anniversary Update で変更されたこと
ここまで、新機能について触れてきたが、今回のAnniversary Updateでは、これまでのWindows 10から変更されたポイントも存在している。ここからは法人向けの展開において影響がある変更点を紹介していきたい。
変更点 その1「Windows Update for Businessの設定」
Windows Updateからの更新プログラム適用のタイミングを制御するグループポリシーが変更されている。影響があるのは、WSUSやSCCMなどの配信基盤がなく、PCが直接Windows Updateを参照している環境となる。WSUSなどがすでに展開されている環境では特に気にする必要はない。
更新プログラム適用のタイミングを制御するグループポリシーが変更になった
これまでの設定は、サービスオプション(CB/CBB)の切り替えと、機能更新プログラムと品質更新プログラムの適用を公開からどのくらいから遅延させるか、という形の設定だったが、Anniversary Updateでは機能更新プログラムと品質更新プログラムそれぞれで独立した設定が可能となっている。
機能更新プログラムと品質更新プログラムの適用タイミングを独立して設定可能
また、制御できる機能更新プログラムの延期期間が従来最大8カ月(240日)だったものが、今回は最大180日になっていることに注意いただきたい。更新プログラム適用の一時停止についても、機能更新プログラムで60日間、品質更新プログラムで35日間となる。 これまでのポリシーとは別にAnniversary Update用のポリシーとして独立しているため、新規に設定する必要がある。
変更点 その2「グループポリシーに対応する Windows 10 のエディション」
一部のポリシーが、Windows 10 Enterprise/Education専用のポリシーに変更された。具体的にどのポリシーが対象となっているのかについてはこちらのサイトを参照していただきたい。
変更点として、Windows Storeアプリで、プライベートストアのみを参照可能にしたり、Storeアプリなどの利用自体を制限するポリシーはEnterprise/Education専用になる旨が記載されている。実際の運用においてStoreアプリの制限を検討している場合などはエディションの要件を注意してほしい。
WaaSについてのおさらい ~ 法人向け展開のタイミングは?
ご存知のとおり、Windows 10では従来ではOSのメジャーアップグレードに相当する機能追加をWindows Updateから「機能更新プログラム」として提供している。標準設定となっているWindows 10 PCでは、この機能更新プログラムをほぼWindows Updateに公開されたタイミングで自動的に適用される。これがいわゆる「Current Branch」と呼ばれるオプションだ。
ただ、法人での展開に際しては、事前に業務用アプリケーションの動作検証などを実施する時間が必要となるケースが多いため、Windows Updateエージェントの設定で「Current Branch for Business」というオプションを選択する。Windows Updateのサービス側では、Feature Update公開から4カ月後に、「Quality Update」と呼ぶ月例の更新プログラムの最新版を適用した更新版のFeature Updateを再公開する形をとっている。Current Branch for Businessの設定がされたPCには、この更新された機能更新プログラムが公開されたタイミングで展開される。Anniversary Updateの場合、公開から4カ月後の2016年11~12月となる見込みだ。
なお、上記はPCが直接Windows Updateを参照している場合を想定している。WSUSやSCCMなどの更新プログラム展開基盤を利用している場合には、すでにAnniversary Updateは公開されているので、すでに任意のタイミングで承認すれば展開することが可能だ。
ぜひ、さまざまな新機能が搭載されているWindows 10 Anniversary Update(1607)をお試しいただきたい。
- 胡口敬郎
- 日本マイクロソフト株式会社 クラウド&ソリューションビジネス統括本部にて 法人向けWindows 製品担当のプリセールスエンジニアとして活動中。 Windows Vista から 4世代にわたり、Windows OS の製品訴求に携わる。