日本はERP投資を減らしてデジタル化へと振り分けよ
デジタルビジネス関連を含めて、どのIT領域に投資しているかも調査した。先進企業は「BI/アナリティクス」が47%で1位となった。2位は34%の「クラウドサービス/ソリューション」、3位に20%で「デジタル化/デジタルマーケティング」と「インフラストラクチャとデータセンター」が同着となった。
日本はクラウドサービス/ソリューションが1位で47%を占めた。2位はBI/アナリティクスの29%、3位は26%で「ERP」となった。
グローバルの先進企業と日本企業を比べた時に、際立った違いがある。デジタル化/デジタルマーケティングへの投資と、ERPへの投資だ。
デジタル化/デジタルマーケティングは、先進企業が20%と高水準であるのに対して、日本企業は3%と著しく低い。一方のERPは、先進企業は8%と著しく低いのに対して、日本企業は26%と高水準だ。
「日本はERPへの投資が大きく、デジタル化/デジタルマーケティングへの投資が低い。これは大きな問題だ。ERPへの投資を減らして、浮いた分をデジタル化/デジタル・マーケテイングに回せないだろうか」(Andy氏)
長谷島氏は、日本企業がERPに投資し続けなければならない理由の1つとして、いまだにグローバル化や標準化の途中段階にある企業が多いことを指摘した。すでにERPの導入と利用が一巡しているグローバル企業とは位置付けが異なると見ている。
日本はビジネスを加速しようとは思っていない傾向がある
デジタルエコシステムの実践に当たって、企業組織はどう変わるのか。Andy氏は、バイモーダル(2つの流儀)の導入が増加すると指摘する。コスト対効果を追求するモード1のスタンスと、市場でのチャンスを取り込むスタンスのモード2を、システムに応じて使い分けて両立させる考え方だ。
「モード1は、昔ながらのプロセスややり方を重視する侍だ、モード2は、ビジネス価値を生む結果を重視する忍者だ。これらが同じ場所に同居している」(Andy氏)
バイモーダルのアプローチを活用していると回答した日本企業は38%と、決して悪くない数字だ。先進企業は68%で、グローバル平均は43%だが、1年前の2016年版のグローバル平均は今回の日本企業と同じ38%だった。
ただし、バイモーダルによって期待できるメリットについて聞いたところ、日本企業には大きな問題があることが分かったという。
先進企業の71%が指摘した「イノベーションが活性化」を指摘した日本企業は、24%しかいない。先進企業の58%が指摘した「市場投入までの期間の短縮」を指摘した日本企業は、18%しかいない。つまり、「バイモーダルによってビジネスを加速しようとは考えていない傾向にある」(Andy氏)