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Gartner Symposium

ANAの業務プロセス改革--「IT部門が経営を巻き込む」

日川佳三

2016-10-17 07:45

 「エアラインは労働集約型産業なので、生産性や稼働率が求められる。今後は、訪日需要という機会もあるが、人口減や破壊的イノベーションなどの脅威もある。こうした中でANAは、IT部門の組織体を、技術の変容とともにIT志向からビジネス志向へと変えてきた歴史がある」――。

板橋直樹氏
全日本空輸 業務プロセス改革室 主席部員 板橋直樹氏

 全日本空輸(ANA)のIT部門、業務プロセス改革室で主席部員を務める板橋直樹氏は10月6日、ガートナー ジャパンが開催したイベント「Gartner Symposium/ITxpo 2016」で講演し、同社のITへの取り組みについて説明した。ANAでは現在、約1000のサーバがエアライン業務を支えている。

 IT技術などの変容に合わせてANAでは、IT部門の組織体を変更してきた歴史がある。2000年まではメインフレーム中心にシステムを自社で作り込んでいた。2000年以降はオープンシステムの流れに乗って、レガシーからの脱却を図った。

 2012年からは、IT部門の名称を業務プロセス改革室に変更し、クラウドサービスの活用やコンシューマーITの活用へと舵を切った。直近のクラウド活用例の1つが、国際線旅客サービスシステムをアマデウス・ジャパンのクラウド型旅客システム「Altea」に移行したことだ。

 業務プロセス改革室の取り組みの1つが、経営を巻き込んだ「業務プロセス改革会議」。社長以下13役員が参加し、2カ月に1回、2時間にわたって開催する。iPadを使ったペーパーレス会議で、戦略案件や投資評価、技術動向などについて話し合う。「報告の場ではなく、議論の場だ」(板橋氏)

イノベーションとデジタル化の推進に専門組織

 2012年4月には、業務プロセス改革室の内部に、革新的な取り組みを推進するために、イノベーション推進部を設立した。この成果の1つが、社員にiPadを配って現場力を強化したことだ。

 2012年4月に客室乗務員に、2013年2月にパイロットに、2013年4月に整備士に、2014年11月に空港係員に、それぞれiPadを配布した。日々の業務に必要な各種の情報を閲覧したり検索したりできる。各種のマニュアルも格納しており、ペーパーレスで参照できる。

 直近の2016年4月には、ビジネスのデジタル化を推し進めるために、業務プロセス改革室の中にデジタルデザインラボを新設した。

 デジタルデザインラボは、シリコンバレーのWIL(World Innovation Lab)と連携している。「スーツを着ずにカジュアルだ。IT予算以外の別の予算が割り当てられている。ITのバックグラウンドがある人はほとんどいない」(板橋氏)

 各部署にデジタルデザインラボの信者を作り出し、サブメンバーとして巻き込みながら進めている。「イノベーション創出のエンジンになればいいな、と思ってやっている」(板橋氏)

 デジタルデザインラボの最初の成果が、顧客基盤を利用したクラウドファンディング「Wonderfly」だ。2016年10月に募集を開始し、2017年1月にクラウドファンディングを開始する。

自動機とPepperで荷物を預ける時間を80%短縮

 ビジネスのデジタル化では、ロボットも活用している。以前は有人カウンター(28カ所)で荷物を預けていたが、これを自動機39台とPepperに置き換えた。これにより、カウンター人員を70%削減し、顧客の待ち時間は最大で80%短縮した。

 2014年には、ANAのモバイルアプリケーションも市場に投入した。2016年には、マイレージカードを廃止してモバイルアプリケーションで代替できるようにした。機内での無線LANサービスも開始した。

 今後取り組むべきこととして板橋氏は、「バックエンドシステムとフロントエンドシステムを切り離してAPI連携による疎結合へと持っていくことが重要」としている。

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