米国時間10月14日、世界の大手IT企業が集まり、データセンター向けサーバを最大10倍高速にするためのテクノロジ仕様「OpenCAPI」(Open Coherent Accelerator Processor Interface)を策定したと発表した。

提供:OpenCAPI Consortium
OpenCAPIでは、サーバCPUとFPGA(Field Programmable Gate Array:内部の論理ゲート構成を書き換えることができる集積回路)といったハードウェアアクセラレータとのデータのやり取りを、(メモリやネットワーク、ストレージとのやり取りと同様に)現在よりも高速なかたちで実現するための新たなインターフェースのアーキテクチャが規定されている。
OpenCAPIは、Advanced Micro Devices(AMD)やDell EMC、Google、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、IBM、Mellanox Technologies、Micron Technology、NVIDIA、Xilinxが主導するOpenCAPI Consortiumが公開した。
より高速なプロセッサの開発が難しくなっているなか、OpenCAPI Consortiumは、コンピュータのパフォーマンスを向上させるために、ハードウェアアクセラレータや、相変化メモリ(PCM)といった先進的なメモリ技術への依存がますます高まっていくとしている。
こういった点で、OpenCAPIインターフェースを採用したコンピュータは、CPUとハードウェアアクセラレータ間を25Gbpsという、既存のPCI Express(PCIe)インターフェースで実現できる最大16Gbpsを上回る速度で接続できるようになるため、現在のコンピューティングアーキテクチャに存在するボトルネックのいくつかを解消できるという。
同コンソーシアムによると、こういったパフォーマンス向上によって、さまざまな利点が生み出されるという。例えば、FPGAやASIC(特定要素向け集積回路)が、OpenCAPIの提供するパフォーマンス向上や仮想アドレッシング、コヒーレンス能力によって、あたかもCPU内に統合されているかのように動作できるようになる。また、OpenCAPIのコヒーレントネットワークやストレージコントローラによって、ソフトウェアのオーバーヘッドが低下し、データアクセスの速度が向上するという。
これらのパフォーマンス向上によって、機械学習や高度な分析機能などのデータ集約型ワークロードに移行している、金融分野から生物科学分野に至るまでのさまざまな分野の企業に恩恵がもたらされるはずだ。
OpenCAPIを採用したサーバは2017年後半に出荷される予定であり、最初の製品はIBMの「POWER9」をベースにしたものとなる。IBMはその後、OpenPOWER Foundationのメンバー企業に向け、OpenCAPI対応製品を利用できるようにしていく。
また、GoogleとRackspaceも「Zaius」という開発コード名で、POWER9プロセッサとOpenCAPIインターフェースを採用した新サーバを開発中だ。そして、ネットワーク製品を手がけるMellanoxは「将来の製品」でこの仕様に対応する予定であり、XilinxもOpenCAPIに対応したFPGAを製造する計画だ。
なお、Intelはこのコンソーシアムに参加していない。同社はこれまでも、「Cache Coherent Interconnect for Accelerators」(CCIX)や「Gen-Z」といったデータセンターテクノロジの標準を策定するグループから距離を置いている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。