日本株展望

誰が買って誰が売る?--日本株の需給を読む - (page 2)

ZDNet Japan Staff 2016年10月18日 11時42分

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一定の決まりに従って動く「年金・日銀・金融法人・事業法人」

 主体別売買動向の表で、次に出てくるのが信託銀行だ。信託勘定を通じて売買する年金や、日銀のETF買いが反映されている。売買主体として、市場への影響力は大きいが、一定のルールにしたがって売り買いしているので、そのルールを知っておくことが必要だ。

 信託銀行は2013年に大幅に売り越していたが、2014年以降は大幅な買い越し主体となっている。2013年は、主に企業年金の売りと考えられる。日本株が上昇するにしたがって、株での運用を縮小する方針であった企業年金からの売りが増えた。

 公的年金は企業年金と逆の動きを始めた。2014年から、GPIF(日本最大の公的年金)が国内債券の組み入れを引き下げ、日本株や外貨建て資産の組み入れを大幅に引き上げる決定をした。2014年の信託の買いは、主にGPIFの買いによると考えられる。2015~2016年の買いは、公的年金および日銀の買いと考えられる。2016年後半は、株式組み入れ比率の引き上げが終わった公的年金に変わり、日銀が買いの主体となってきている。

 次に、金融法人(除く信託銀行)と事業法人を見てほしい。金融法人は売り越しが続いている。銀行・生損保とも持ち合い解消売りを続け、長期的に株の保有を減らす方針だ。

 一方、事業法人は、毎年大幅な買い越しになっている。これは、主に自社株買いによるものだ。年々、株主への利益配分の一環として、自社株買いを増やす企業が増えている。

外国人投資家の売り圧力は細ってきている

 日経平均のチャートを見ると、膠着感が強まっている。短期的には、上下とも大きくは動きにくい状況が続いている。相場を動かす外国人投資家が、日本株を大きく動かすような売買をしていないことによるものだ。

 外国人が売っても、日銀が買うことにより、株式市場は下がりにくくなった。9月は、外国人投資家が、株式現物を1兆1050億円売っているが、日銀が日本株ETFを8303億円買っているため、日本株は大きくは下がらなかった。

 ここからさらに、大量の外国人売りが出ることは想定しにくいところだ。詳しい説明は割愛するが、裁定買い残高がリーマンショック後の頃の水準まで低下しており、外国人投資家による日本株の投機的な買いポジションはほとんど整理されたと考えられる。

 また、外国人機関投資家の日本株ポジションは、かなりアンダーウエイト(基準組み入れ比率よりも低い組み入れ)になっていると推定される。日銀が日本株を買い続けることで、外国人の潜在的な売り玉をどんどん吸い取っていったと考えられる。

 もう1つ、日本株に需給改善に寄与しているのが、原油価格の反発だ。昨年、日本株の下値を叩いた産油国の売りも、原油価格が反発しているため、ここからは出にくいと考えられる。一部産油国では、新たに日本株への投資を積み増す動きが出ていると考えられる。今後の原油価格の騰落が、日本株への産油国の売り買いに反映されるので、注意してみている必要がある。

 まとめると、よほど大きな悪材料が出ない限り、外国人の突発的な売りによって日経平均が急落するリスクは低下してきていると考えられる。

外国人はいつ日本株の積極買いに転じるか

 過去の経験則から考えると、米国が利上げを実施し為替が円安に転じる局面で、外国人投資家は、日本株のポジションを積極的に引き上げると考えられる。ただ、頭で考えていることは、そのまま実現しないこともある。

 予断を持たず、外国人の売買動向を見ていて、コバンザメのように外国人の売買についていくことが重要だろう。9月の終わりから、裁定買い残高が底打ちし、外国人投資家が日本株を買い越しになっている。外国人が買い越しに転じる予兆とも取れるが、まだ、明確な判断はできない。

 今後、本レポートで、外国人の売買動向について、継続的に報告していきたい。

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