結論:今回の提携によってVMwareはAWSのフロントエンドとなる。両社は、協力して堅固なハイブリッドクラウドスタックを作ろうとしている。AWSがほかにもAT&Tなどの大手エンタープライズプロバイダとも提携関係を結んでいることを考えれば、当面の間Amazonの支配的立場が揺らぐことはないだろう。
では、両社の敵はどういう影響を受けるのだろうか。
- 最初に触れるべきはMicrosoft Azureだろう。Microsoftのハイブリッド戦略は強力だ。同社のソフトウェアはデータセンターで非常に多く利用されており、Azureと相性がいいためだ。Mary Jo Foley氏は米国時間2016年10月13日に、Microsoftがすでにハイブリッドクラウドサービスを高い水準で充実させていることを指摘する記事を書いている。これは、Microsoftがこの動きを予期していたためだろう。
- Google Cloudは蚊帳の外に置かれる可能性がある。AWSをVMwareのメインのパブリッククラウドプロバイダに据えたことで、Google Cloudは事実上、多くの企業で価格競争から締め出されることになった。Google Cloudはハイブリッド市場でのパートナーシップ戦略をステップアップさせ、よりよい統合とサービスを提供する必要があるだろう。
- IBMの「SoftLayer」事業部門は、同社のデータセンター事業の恩恵を受けている。VMware・AWS陣営との顧客の重複が大きければ、IBMもある程度の影響を受ける可能性がある。
- プライベートクラウド市場の事業者も、AWSとのより緊密な統合を求められる可能性がある。VMwareがAWSと組んだとなれば、Hewlett Packard EntepriseやRed Hatもそれに続く可能性がある。
- OracleのAWSに対する対抗意識は、難しい局面に入るかも知れない。同社はアプリケーションをOracleのクラウドに移行しやすくすることで、AWSとも戦えるというスタンスを取っている。これは議論としては考えられることだが、AWSとVMwareのパートナーシップを考慮すると効果的であるとは言えない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。