Ubuntu 16.10には、DevOpsツールの「Juju 2.0」の最新リリースも同梱されている。これを利用すれば、「Hadoop」やKubernetesなどを簡単にセットアップすることができる。その上、Jujuを使えば、モデルに基づく一貫性のある形で、複数のパブリッククラウドとプライベートインフラを横断してセットアップすることも可能だ。
筆者自身もJujuを使っているが、Jujuは複雑なアプリケーションのクラウドへの導入を本当に簡単にしてくれる。Juju 2.0では、「vSphere」のインフラにも対応しており、OpenStackとVMwareの両方でプライベートクラウドを利用できる。
またCanonicalは、このリリースでは、ネットワーク性能を向上させるため、新しいバージョンの「Data Plane Development Kit」(DPDK)や、OpenVSwitch(OVS)、仮想化技術などを導入したと述べている。これらの技術はすべて、重要なサーバやクラウドアプリケーションのトラフィックを、低遅延、高スループットで提供できるように設計されたものだ。
Ubuntu 16.10で追加されたのは、エンタープライズ向けの機能だけではない。このバージョンではコンテナとパッケージの技術を融合させる、「snap」のユニバーサルLinuxパッケージが採用された。これによって、開発者は1つのフォーマットでアプリやサービスを配布する手段を手に入れたことになる。SnapはUbuntu 16.10、16.04 LTS、14.04 LTS、およびほかの一部のLinuxディストリビューションで利用できる。
このリリースではまた、Canonicalのデバイスコンバージェンスのビジョンも示されている。「Unity 8」の開発者向けプレビューには、スマートフォンからデスクトップまで、そしてマウスからタッチスクリーンまで、幅広い環境で利用できるアプリが含まれており、次世代のLinuxデバイスがどのようなものになるかを提示している。
Unity 8は、1年前からUbuntu用のスマートフォンやタブレットでも使われている。この開発者向けプレビューでは、Canonicalが掲げる、1つのインターフェースですべてのエンドユーザーデバイスをカバーするビジョンを見て取ることができる。
これらを一言でまとめれば、Canonicalはクラウドを第1に、サーバを第2に据えていることは明白だ。デスクトップも重要ではあるが、収益性ではPCよりもクラウドの方が見込みがあるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。