三菱電機は、同社グループ社員約14万人が活用する「グローバルIT基盤」の構築に乗り出した。
日本マイクロソフトの統合型情報共有クラウドサービス「Office 365」と、三菱電機独自のクラウド環境を組み合わせたハイブリッドクラウド環境を実現。効率的なコミュニケーションとセキュリティの強化を両立するのが特徴だ。
10月1日から、順次導入を開始。2018年3月には全世界300カ所の拠点への導入を完了する予定だという。その取り組みについて、三菱電機 IT戦略室長の木槻純一執行役員は、NTTコミュニケーションズ主催の「NTT Communications Forum 2016」において講演。その後、単独取材に応じ、「グローバルIT基盤が、全世界300拠点に展開されれば、2020年には、約20%の費用効果が見込まれる」と語った。
三菱電機 IT戦略室長の木槻純一執行役員
三菱電機は、現在、重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム、電子デバイス、家庭電器の各分野でグローバルに事業を展開。ホームエレクトロニクス、空調・冷熱、ビル、エネルギー、半導体、交通、産業・FA、自動車機器、通信、公共、ITソリューションといった12の主要事業分野を持つ。連結従業員数は13万5160人、全世界に300拠点を擁している。
2015年度の連結売上高は4兆3943億円。同社が創立100周年を迎える2020年度までに、売上高5兆円以上、営業利益率8%以上を目指す長期経営計画を打ち出し、「グローバル環境先進企業として、時代の要求に応える企業集団を目指すとともに、もう一段高い成長に向けた変革に挑戦している」という。
三菱電機では、経営方針として、「強い事業を核としたソリューション事業の強化」、「グローバル展開の拡大」の2つを掲げており、「IT戦略室は、経営方針を踏まえて、グループおよびグローバルにIT戦略の立案、整備、展開をしている」と位置づける。
その中で、2015年度から3カ年に渡って実施する第2フェーズにおいては、成長けん引事業群のさらなる強化として、資源投入強化やグローバル展開の強化に向けた事業基盤の整備を掲げ、その具体的施策として、地域拠点の整備やローカルニーズに対応する地域R&D強化とともに、IT基盤の強化も盛り込んでいる。
「こうした将来に向けたIT環境を実現するために、3つのステップで作業を進めている」という。
第1ステップは、セキュリティ対策の強化として、端末の一元管理により、ウイルス感染予防と感染端末の早期特定および隔離を実施。グローバルCSIRTの設置を行うという。
第2ステップは、業務の生産性向上であり、ここでは、グローバルIT基盤の標準化のほか、グローバルネットワークの再構築、モバイルの高度活用が含まれる。
「これらの第1ステップおよび第2ステップを実現するために、今回の三菱電機グローバルIT基盤の整備がある」とし、2018年3月までに整備を完了することになる。
さらに、第3ステップとして、経営の見える化および高度化に向けて、業務プロセスの標準化に取り組む。具体的には、管理業務プロセスの標準化、グローバルSCMの強化を進めるという。「これは、第2ステップの終了を待たずに、すでに同時並行的に作業を開始している」という。