2016年内には自治体との連携により、ヘルスケア、オートモーティブ、リアルタイムモニタリング、ドローン、インバウンドなどの要素を統合した形で、セキュアIoTプラットフォームの実証実験を行う予定だ。「これをIoTシムシティと呼び、530億台のIoTデバイスがネットワークに接続する時代に、果たして、どんなことが起こるのかといったことを検証し、地域社会に与える効果や、課題などを明確にしたい」(サイバートラスト セキュアIoTプラットフォーム推進事業本部・白水公康部長)としている。
サイバートラスト セキュアIoTプラットフォーム推進事業本部 部長 白水公康氏
一方で、サイバートラストでは、年内にはこれらの実証プロジェクトで構築したシステムをベースにしたトライアルキットを提供する予定だ。価格は未定。
トライアルキットは、ユビキタスと共同で開発したGPS位置測位システムを活用し、IoT機器のリアルタイムモニタリング用途に提供。イベント運営におけるスタッフ配置や観客誘導などでの活用や、配送業務における要員配置、積荷などの現在位置情報の自動収集し、これを見える化。業務の効率化などにつなげる考えだ。
また、こうした動きを加速するために、パートナー各社との連携を加速。今回の発表にあわせて、F5ネットワークスジャパン、大塚商会、オービックビジネスコンサルタント、さくらインターネット、大日本印刷、ドローン・ジャパン、ユビキタス、ラック、ワコム、ワンビなど24社が、賛同企業として名前を連ねた。
「セキュアIoTプラットフォームは、最終ユーザーから収益を得るのではなく、セキュアIoTプラットフォームを活用したソリューションを提供する企業から得るビジネスモデルとなる。今後は、賛同企業を増やしていくとともに、コンソーシアムとしての活動へと発展させ、セキュアIoTプラットフォームに関する技術面での情報交換や、事例を通じた情報共有を行いなど、パートナー企業との連携を積極化させたい。パートナーとの連携がセキュアIoTプラットフォームの普及に大きく影響すると考えている。また、トライアルキットはセキュアIoTプラットフォームを実現するための起爆剤になる」としている。
サイバートラストでは、今後、トライアルキットの拡充にも乗り出すほか、事例を「システム構築サンプル」として、賛同企業を対象に公開していく考えだ。「産業分野を問わずさまざまなサービス提供事業者やIoTベンダーと連携し、より安心で、安全なIoT活用の実現に向けて、セキュアIoTプラットフォームを、社会基盤とすることを目指す」とした。
一方で、今後は、セキュアIoTプラットフォームの広がりにあわせて国内認証センターの増強や新設なども視野に入れた新たな投資についても検討していく考えだ。「億単位でのデバイスが接続された環境において、国内の認証センターを持つ強みが発揮されることになるだろう」(佐々木氏)とした。