コミュニケーションのあり方を提案する
情報工学を専攻した大学時代に、「人と人のコミュニケーションのあり方がインターネットの到来で大きく変化する」と感じた佐々木CEOは卒業後、広告代理店に入社する。デジタルコミュニケーションなどを担当し、「いままで見えなかったことが、データで見える化されることを体験した」。
こうしたデジタル化の体験を積むため、リクルートに転職した佐々木CEOは、ある事業部門の新規事業や海外事業の責任者を務めており、コミュニケーションの難しさを痛感したという。エンジニアやマーケティング担当者、プロダクト担当者らで構成するプロジェクトや、東南アジアなど数カ国のメンバーによるプロジェクトを推進する中で、コミュニケーションが生産性に大きく影響するということ。
メールやチャットを使えそうだが、佐々木CEOによると、メールでのプロジェクト進捗管理は難しい。会話を同期で進めるチャットは、日本と時差のある国では使いづらい。
「必要な情報が必要な人の手元にあるようにするには、コミュニケーションの課題を特定化」することから始まる。そして、定点観測を続けることで、課題解決と評価制度の見直しにつながる。それが同社の事業モデルなので、佐々木CEOは「当社はHR(ヒューマン・リソース)テクノロジー会社に位置付けられる」と、グループウエアなどソフト・ベンダーとの違いを強調する。
「少子高齢化の中で、大事なのは1人ひとりの労働生産性を向上させる」。そのソリューションを提供するOneteamの佐々木CEOは、「次の時代を作るエンジニアをリスペクトする」とし、国内外から優秀なエンジニアの採用に力を入れるとともに、日本での拡販に本格的に取り組み始めた。
- 田中 克己
- IT産業ジャーナリスト
- 日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任し、2010年1月からフリーのITジャーナリストに。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事も務める。35年にわたりIT産業の動向をウォッチし、主な著書に「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)がある。