デジタル未来からの手紙

ドローンが日本経済を浮揚させる日--第4次産業革命へのマイルストーン - (page 4)

林 雅之

2016-10-31 07:00

 ドローンの開発に関する取り組みには、そのほか、ドローンの連続飛行を可能とするための自動バッテリ装置の開発やドローンによる放射線分布の3D可視化技術の開発、ロボット制御ソフトウェア基盤である「RTM」と「ROS2」を連携動作できるソフトウェア開発やドローン編隊飛行のシステム開発などの取り組みが進められており、福島イノベーション・コースト構想による、ドローン産業の集積地としての産業発展が期待されている。

 自治体でのドローン活用も始まっており、観光PRによる「撮影」、物資などの「運搬」、橋の点検などの「調査・点検・測量」、「災害」などの取り組みも進んでいる。

(筆者作成)
(筆者作成)

 鹿児島県では、奄美大島など鹿児島の離島に特価したPR動画のウェブサイト「本物。鹿児島県」を開設し、YouTubeで動画を公開し、海外からのアクセスも多く、インバウンド観光に活用している。この動画は、ドローンによる鹿児島の離島を高画質の4Kカメラで空撮し、ダイナミックな地形や水流を表現している。

 国家戦略特別区域に指定された千葉市では、高層マンションの立ち並ぶ千葉市美浜区の幕張新都心に、ドローンによる宅配の実証実験を行っており、2019年ごろの実用化に向けた検討を進めている。

 インフラ点検では、国家戦略特別区域に指定された広島県や愛媛県今治市でドローンによる橋の点検を実施している。

 災害では、多くの自治体が民間企業と連携し、災害発生時においての情報収集などにおいてドローンを活用する取り組みが進んでいる。熊本地震でもドローンが阿蘇大橋の決壊などを撮影したように、災害での活用は進んでいくとみられる。

 ドローンにおいては、プライバシーの問題や落下事故などのリスクなど、さまざまな課題も山積している。その一方で、利用の範囲は広く、政府や自治体が率先して活用するとともに、安全な利用に向けた法整備や規制緩和を図ることで、生産性の向上や新しい産業創出に寄与できるようになるだろう。

林 雅之
国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。NTTコミュニケーションズで、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開 発などの業務を担当。政府のクラウドおよび情報通信政策関連案件の担当を経て、2011年6月よりクラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。

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