人工知能同士をつなぐ--「AIネットワーク化」が社会に与えるインパクト(後編)  - (page 4)

小船井健一郎 山田竜司 (編集部)

2016-10-28 07:00

 4月29日、30日に開催されたG7香川・高松情報通信会合においては、高市早苗総務大臣が、検討会議の中間報告書の提言に基づいて、8項目からなる「AI開発原則」のたたき台を配付しつつ、G7各国が中心となってOECD(経済協力開発機構)のプライバシーなどの協力を得ながら、「AI開発原則」の策定に向けて国際的な議論を進めることを提案したところ、各国から賛同が得られています。


 「AI開発原則」や「AI開発ガイドライン」は、規制やルールといった拘束的なものではなく、あくまでも国際的に参照されるゆるやかな枠組みを想定しています。

 これらを策定する過程においては、関係する産学民官のステークホルダーの参画を得つつ、国際的な議論のなかで検討を進めていくことが必要です。また、いったん策定しても、それはある時点の状況に基づく暫定版に過ぎませんので、関連する技術の動向、リスクの顕在化、AIネットワーク化の進展に応じて、継続的に見直していくことが必要です。そのために重要となるのは、国際的な議論の場の形成と、国際的な議論に貢献するための国内における検討体制の整備です。

――報告書2016には20のリスク・シナリオが掲げられているとのことですが、こうしたリスクを受けて経営者やIT部門の関係者はどう考えるべきですか。

 報告書2016に掲げる20のリスク・シナリオは、試行例に過ぎません。こういうリスク・シナリオを、関連する技術の動向やAIネットワーク化の進展を踏まえつつ、継続的に作成していくことが期待されます。これはさまざまな可能性の想定を積み上げて、国内外で共有し、議論していくためのものです。

 産業界の方々は、「こういうリスクがあるならば、こういうAIをつくっていきましょう」「こういうリスクに耐えられるような、AIの使い方を考えましょう」ということを、それぞれの立場で考えていただければと思います。

――国際的にガイドラインを作成し、各国と議論を進めるというお話ですが、会議が進展して別の会議体ができる予定はあるのでしょうか。

 AIネットワーク化検討会議の提言を踏まえ、OECDなどにおける国際的な議論に貢献するために、わが国から議論のたたき台を国際社会に提供することができるよう、検討会議を発展的に改組して、産学民官が参画する検討体制を新たに整備しようと考えています。今年の10月31日から社会全体におけるAIネットワーク化の推進に向けた社会的・経済的・倫理的・法的課題を総合的に検討することを目的として、「AIネットワーク社会推進会議」を 開催する予定です。

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