後発であるため、既存のIaaSとの比較は避けられない。Daheb氏も「差別化にフォーカスしている」とし、価格性能比、シンプルなマイグレーション、セキュリティ、エンタープライズレベルのワークロード可視化などを差別化に挙げた。
価格性能比はAWSと比較した。性能については「コンピュートは11.5倍高速、アナリティクスは105倍高速、OLTP(オンライントランザクション処理)は35倍高速」と胸を張る。価格についても「コンピュートでは21%、データベースで28%低価格で、ストレージは7分の1のコストだ」とDaheb氏。さらに「AWSは性能が遅い上、ロックインが生じる。Oracle DatabaseはOracle CloudでもAWSでもAzureでも動かすことができるが、AmazonはAWSのみ」と違いを強調した。
IaaSをはじめとしたOracleのクラウドをささえるシステムにも触れ、「われわれは現在も幅広いサーバ、エンジニアドシステム、ストレージを提供する。これらのシステムをクラウド対応させており、顧客は投資を保護できる。同じソリューションセットがパブリッククラウド、プライベートクラウドで動き、シームレスに行き来できる」と述べた。
説明会ではいくつかの事例が紹介された。たとえば、Amazon RDS、SAP、IBMに対してOracleを選んだという米国のキャリアT-Mobile USAは、Oracle Cloudを利用して全米50の州での新しいリース製品を迅速に投入した。具体的には、SaaSのFinancial Service、データベースのバックアップにIaaSを、そしてPaaSなどを利用してモダナイズしたという。SAPのオンプレミスバンキングシステムをOracleベースに移行、5000万ドルレベルのローンやリースに対応できるようになったという。
最後にDaheb氏は「Oracleは40年間の歴史がある。顧客はわれわれの専門知識を信頼できる。新しいクラウドの実装ではなく、既存の投資と結びつけること」と述べ、創業から39年の間で培った経験と知識の深さをアピールした。
日本オラクル 執行役員 クラウド・テクノロジー事業統括 Cloud Platform事業推進室長 竹爪慎治氏
IaaSへのフォーカスについて、日本オラクルでクラウド・テクノロジー事業統括 Cloud Platform事業推進室長を務める執行役員の竹爪慎治氏は「入り口」と説明した。
「ここ1年、PaaSを本格的に展開してみて、PaaSにいきなり移動するより、既存のライセンスをIaaSに持って行って、まずはハードウェアのコストを削減し、その後PaaSやSaaSに展開することでコストを最適化して付加価値を得る。そんな要望が多かった」と北爪氏は明かした。
また、一度他社のIaaSを選択した後にオラクルのPaaSやSaaSを考えるのは難しいようだとし、「IaaSが入り口として必要であると認識した」と意図を説明した。