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日本株展望

不動産ブーム続く、大手不動産株は買いか?

ZDNet Japan Staff

2016-10-27 11:19

今日のポイント

  1. 都心の不動産価格上昇を受けて、大手不動産株では、保有する賃貸不動産の含み益が拡大しつつある
  2. 不動産ブームの中にあるにもかかわらず、大手不動産株は今年、大きく値下がりした。割安株を見直す流れの中で大手不動産株にも見直し余地が出ている

 これら2点について楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

都心の空室率低下、賃料の上昇続く

都心5区オフィスビルの賃料・空室率平均の推移:2013年1月~2016年10月

都心5区オフィスビルの賃料・空室率平均の推移:2013年1月~2016年10月
(出所:三鬼商事、都心5区は千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)

 アベノミクスが始まった2013年以降、景気回復と異次元金融緩和の効果で都心のオフィス需給は改善が続いている。

 三鬼商事の調査によると、2013年1月に8.56%であった都心5区の空室率は、2016年9月に3.70%まで低下している。平均賃料は、2013年中は低下が続き2013年12月に坪あたり1万6207円となったが、そこから上昇に転じ、2016年9月には坪あたり1万8336円となっている。

大手不動産会社で賃貸不動産の含み益が拡大

賃貸不動産の含み益上位5社の含み益:2013年3月~2016年3月

賃貸不動産の含み益上位5社の含み益:2013年3月~2016年3月
(出所:各社有価証券報告書と決算短信。賃貸不動産の含み益は時価と取得原価の差額で不動産の値上がりによる価値増加分)

 日本では、賃貸不動産に巨額の含み益が存在する会社が多数ある。賃貸不動産の含み益上位5社を挙げたのが上の表だ。上位3社は、大手不動産会社だが、4位はJR東日本(電鉄会社)、5位はNTT(通信会社)になっている。

 近年、金利低下と不動産価格の上昇により、賃貸不動産の含み益がさらに拡大しつつある。三井不動産には、2013年3月末で8104億円の含み益があったが、2016年3月末にはそれが1兆5644億円にまで膨らんでいる。

 上位5社は都市部に優良物件を保有しているため、いずれも含み益が増加している。含み益の増加率は、積極的に不動産開発を手がけていた三井不動産と住友不動産が特に高くなっている。

上場不動産投資信託(REIT)は堅調だが、不動産株は最近大きく下がってきていた

東証REIT指数と不動産株価指数の動き比較:2012年末~2016年10月26日

東証REIT指数と不動産株価指数の動き比較:2012年末~2016年10月26日
(注:2012年末の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成)

 アベノミクスがスタートしてからの動きを比較したのが上のグラフだ。異次元金融緩和を導入したことを好感して、最初は東証REIT指数と不動産株価指数はともに急騰した。ただし、その後の値動きが全く異なる。東証REIT指数は高値圏で堅調な動きを続けているが、不動産株価指数は2015年後半から大きく下がっている。

 どちらも主に不動産に投資するものだが、利益の分配方針の違いがパフォーマンスの差に出た。REITは、毎期の利益をほぼすべて投資家に分配する。分配金方針のわかりやすさと相対的に高い分配金利回りから個人投資家に人気となった。ちなみに現在、REITの平均分配金利回りは約3.6%だ。

 一方、不動産株は投資家への利益還元方針が不明瞭だ。大手不動産会社で、配当金利回りが1%前後と低く、個人投資家の投資ニーズが高まらなかった。2015年以降、外国人投資家が日本株を大幅に売り越す中で不動産株は大きく値下がりしている。

 ただし、今月に入ってから不動産株は反発している。割安株を見直す流れが不動産株にも波及しているものと考えられる。

 賃貸不動産の含み益増加率が高く、2017年3月期に経常最高益を更新する見通しの三井不動産と住友不動産には、短期的な投資妙味があるように考えられる。

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