急拡大するIoTに対応--インテルの新プロセッサ「Atom E3900」 - (page 2)

Stephanie Condon (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-10-28 06:00

 このプロセッサシリーズには、デバイスの同期に必要な高速な接続を確保する技術である、Intelの「Time Coordinated Computing」(TCC)テクノロジが組み込まれている。TCCテクノロジを使用すれば、チップ(SoC)上およびネットワーク上のシステム内クロックを同期し、1マイクロ秒以内の精度を実現できるという。これによってIntelは、確定性が実現できなかったE3800には開拓できなかった新たな市場を目指す。

 またE3900シリーズでは、複数の強化された新たなセキュリティ機能が採用されている。例えば、専用のセキュリティコプロセッサ「Trusted Execution Engine 3.0」は、マルウェアや不正なソフトウェアが、ローレベルデバイスに細工することを防ぐ。このプロセッサは、署名技術を用いてソフトウェアの変更を検知し、変更されている場合はデバイスの起動を阻止する。さらに、プラットフォームに対する物理的な細工も監視できる。また、顧客が秘密情報や鍵をより安全な形でハードウェアに保管できるようにする、Intelの「Platform Trust Techcnology」も搭載された。

 さらにE3900は、デバイス内システムの安全確保と復旧に関するさまざまな機能を備えており、ネットワークカメラのデフォルトパスワードが変更されていないなどのミスによって発生する、サービス妨害(DoS)攻撃を防ぐことができる。

 「これらのテクノロジは、実装するシステムにミス予防の仕組みを組み込むためのものだ」とCaviasca氏は言う。これらのセキュリティ機能は、ITとOT(運用技術)が融合することで問題となる2つのセキュリティ領域である、プライバシーの確保と脅威に対する安全性確保の両方を実現するための基礎だ、と同氏は述べている。

 E3900を採用した製品を準備している顧客企業は、リリース時点ですでに約30社あり、これはIntelのIoT分野向けAtom製品では過去最大の数だという。これにはいくつかの有名な自動車業界のOEMメーカーが含まれており、その中でもDelphiは、E3900を統合コックピットコントローラ(複数の高解像度ディスプレイや直感的な音声認識機能、その他のアプリなどを備えたソフトウェアで制御されるコックピット)で利用する予定だという。

 Intelが買収したMovidiusとスマート監視カメラ分野でパートナーシップ関係にあるHikvisionも、監視アプリケーションでE3900シリーズを使用する。例えば、同社のネットワークビデオレコーダーは、E3900を使用して低コストなビデオストリームを提供する。E3900はあらゆるエンコーディングや処理を扱う能力を持っており、直接入力された30フレーム毎秒、1080pの動画を15ストリーム同時に処理できるという。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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