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Rethink Internet:インターネット再考

生命としてのインターネット(後編)--「脳とウェブが接続する未来」のために - (page 2)

高橋幸治

2016-11-13 07:00

第2四半世紀のインターネットを読み解くカギは生命モデル

 インドラとはバラモン教、ヒンドゥー教の勇猛な神の名で、日本では仏教に取り込またあと帝釈天となった。そして奈良の東大寺を本山とする華厳宗の経典・華厳経の中で説かれる「インドラの網」(Indra's Net)とは、帝釈天の宮殿にかけられた巨大な網のことをいう。網の結び目には無限の宝珠が編み込まれ、各宝珠は他のすべての宝珠をその表面に映し込んでいる。

 考えようによっては、これは極めてインターネット的なイメージだとは言えないだろうか?つまり「インドラの網」自体が広大なインターネット的宇宙であり、そこに包含された個々の宝珠=無数の「私」にはインターネット的宇宙全体が反映されている……。「インドラの網」とはまさに多即一と一即多、マクロコスモスとミクロコスモスを同時に体現した網=ネットなのだ。

 WWW=World Wide Wedの「Web」は周知の通り「織物」であり「網」であると同時に「蜘蛛の巣」である。WWWはその名称の中にすでに生命的なイメージを内包しており、宮沢賢治も「インドラの網」を「その繊維は蜘蛛のより細く、その組織は菌糸より緻密」と描写している。蜘蛛や菌糸という生命的イメージ……。私たちはもうインターネットを人間の外部に施設された単なる情報インフラとして客観的に対象化することなどできない。

 インターネットに接続されているのはパーソナルコンピュータやサーバマシン、スマートフォン、ウェアラブルコンピュータという情報処理端末であると同時に、それらを携帯し、装着し、操作する人間という情報蓄積体、情報伝達体、情報編集体である。今回のテーマである「第2四半世紀に突入したインターネットの姿をどのようにイメージするか…」という問いのヒントは、案外、古くて新しい生命的モデルの再導入と再適用なのかもしれない。

高橋幸治
編集者。日本大学芸術学部文芸学科卒業後、1992年、電通入社。CMプランナー/コピーライターとして活動したのち、1995年、アスキー入社。2001年から2007年まで「MacPower」編集長。2008年、独立。以降、「編集=情報デザイン」をコンセプトに編集長/クリエイティブディレクター/メディアプロデューサーとして企業のメディア戦略などを数多く手がける。現在、「エディターシップの可能性」をテーマにしたリアルメディアの立ち上げを画策中。本業のかたわら日本大学芸術学部文芸学科、横浜美術大学美術学部にて非常勤講師もつとめる。

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