海外コメンタリー

アップルの新「MacBook Pro」発表と注目される法人市場での動き - (page 2)

Jason Hiner (ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2016-11-08 06:30

 IBMがApple製品を従業員に支給するというのは、IT業界の歴史を知っている人間にとっては信じがたい話に思えるはずだ。というのも、1980年代のPC競争でAppleを法人市場から締め出し、クリエイティブなプロフェッショナルや教育機関、文化人を自称する変わり者のための市場という、より小さなニッチに追いやった張本人こそが、IBMであるためだ。

 ここ数年にわたってiPhoneやiPad、「Apple Watch」に力を注いできたAppleが今回、新型のMacBook Proを発表したのは、IBMの大規模配備のような動きも背景にあると言える。また、Appleが「iOS」搭載機器に注力しているにもかかわらず、ビジネス分野にMac製品が浸透してきているという複数の調査もある。

 Appleは「iPad Pro」の発売により、一定数のMacユーザーがタブレットに移行することを望んでいた。この製品はまずまずの販売実績を上げているが、多くのプロフェッショナルをMac(あるいはWindows搭載PC)からiPadに乗り換えさせるには至っていない。しかも、市場全体で見た場合、iPad ProはiPadの低下しつつある販売台数を補うには至っていない。

 一方、Mac製品の販売台数は2015会計年度第4四半期(2015年9月26日締め)に史上最高に達したが、MacBook Proと「Mac Pro」の新製品投入が遅れたせいで直近の3四半期の販売台数は低迷していた。人気の高いMacBook Airのユーザー層を狙ったMacBookも、斬新なデザインにもかかわらず、おそらくはUSB-Cポートを1基しか搭載していないということも大きな要因となり、市場の興味を引くことはできなかった。また、新型MacBookを投入しながら旧型のMacBook Airを販売し続け、ユーザーの混乱を招いた点も不利に働いた。


提供:Statista

 Appleは、27日に発表したMacBook Proで同社のノートブック製品ラインに再び活気をもたらそうとしている。ここでの大きな疑問は、同社によるMac製品への新たな注力が事業の業績向上を狙った暫定的なものなのか、それともIBMに代表される大規模配備を目にしたことで、より良いコンピュータに向けた再投資でMacの市場が成長していく可能性を読み取ったのかという点だ。

 世界のPC市場が縮小を続けているため、後者は逆風のなかを進むという戦略となるだろう。Appleが最も健闘している米国市場は息を吹き返したように見えるものの、同社は成長の大半を法人市場に求める必要があり、Windows搭載PCのシェアを奪っていく必要もあるはずだ。しかし、Appleの発表の前日である26日にMicrosoftが発表したハードウェア、つまりオールインワン型の「Surface Studio」(iMacの競合になる)と、Microsoftブランドの新たな入力デバイス「Surface Dial」も忘れてはいけない。

 テクノロジ市場のトラック野郎にとって、この勝負は興味深いものとなりそうだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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