NECは10月28日、GPS信号が届きにくい建物の内部にいる場合であっても、地磁気を活用することでその位置を正確に測定する技術を開発したと発表した。
事前調査で取得した屋内の位置や地磁気の情報を深層学習(ディープラーニング)技術を利用して解析し、各フロアの地磁気の特徴を抽出するもの。抽出された地磁気特徴を基にして、屋内の対象者が所持するセンサで得た地磁気情報から位置を測位する。NECが行った測定では誤差2メートル以内の精度となった。
鉄鋼製の部材を骨組みの構造に用いている建物の内部へはGPS信号が届きにくい。そのため、このような建物内では、「どこで」「誰が」「どんな状態か」を把握するのが困難になる。昨今、動態管理や送客のために、工場や店舗などの屋内で人の位置を正確に測定するニーズが高まっているが、ビーコンや無線LANなどを利用する方法では設置コストの負担が大きいという課題があった。しかし、今回開発された地磁気情報を活用した技術を使えば、地磁気センサやモーションセンサを備えた端末を活用するだけで対象者の把握ができる。
NECは、今回開発された技術や耳音響認証技術、モーションセンサなどを組み合わせ、ヒアラブルデバイス向けプラットフォームの事業化を2017年度中に実現することを目指している。イヤホン型の端末であるヒアラブルデバイスは耳を通じたインターネット利用を可能にし、低コストな位置情報把握の仕組みと併用することで、業務効率向上、作業安全性、保安強化などのメリットを生み出す。NECでは事業化に向けて、サービス事業者、デバイスメーカーなどと共同で実証実験を行っていく。