日本株展望

富士通、富士フイルム、JR九州の構造改革に注目

ZDNet Japan Staff 2016年11月01日 11時45分

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今日のポイント

  1. 構造改革の発表で買われる企業が増えてきている。富士通(6702)はレノボとPC事業で提携を検討と発表。低採算のハード部門を縮小してITサービス中心の会社に変わる構造改革が進行中。富士フイルムHLDG(4901)は医薬品・医療機器中心の会社に変わりつつある。JR九州(9142)は、完全民営化の達成で、さらなる改革が進みやすくなった
  2. 日本郵船(9101)・商船三井(9104)・川崎汽船(9107)がコンテナ船事業の統合を発表。長年の懸案が実現に向かうことは高く評価。ただ、世界的な海運不況は深刻化しており、海運株への投資は時期尚早か

構造改革の機運が再び高まりつつある

 日本企業に、思い切った構造改革を発表する企業が増えつつある。日本株の投資魅力を高める新たな切り口として注目している。今進んでいる構造改革について話す前に、日本企業の構造改革ブームの盛衰について話す。

 10年以上前の話になるが、1998年から2005年にかけて、日本企業に大規模な構造改革ブームが起こった。1990年代の「失われた10年」と言われる構造不況を経て、このままでは生き残れないとの空気が広がり、生き残りをかけた「合併・リストラ」が進んだ。

 都市銀行13行は、3メガ銀行に集約された。鉄鋼・化学・石油精製・セメント・医薬品・小売り・自動車・半導体など、幅広い業界で、連日のように合併や経営統合の話が報道された。2003年以降、構造改革の効果に加え、新興国成長の恩恵もあって、日本企業の業績はV字回復に転じた。

 ところが、2006年以降、その巻き返しが起こった。日本企業の業績・財務が急回復したことで安心感が広がり、「構造改革疲れ」が日本中で話題になった。構造改革の名を借りた、ハゲタカファンドの暗躍もあって、買収やリストラを嫌うムードが広がった。

 2006年には、買収防衛策の導入がブームとなり、合併やリストラの撤回発表も相次いだ。2005年までの構造改革ブームはすっかり鳴りをひそめ、日本企業の競争力低下につながった。

 再び、構造改革の機運が戻り始めたのが、リーマンショックの直後、2009年からだ。世界的な景気悪化、円高の進行、アジア企業の台頭、日本国内での少子高齢化の進行もあって、このままでは生き残れないとの空気が再び日本企業に広がり始めた。以後、構造改革は日本企業の間で静かに継続している。

富士通の構造改革

 富士通は、10月28日に9月中間決算を発表すると同時に、PC(パソコン)事業で中国のレノボ【注】と提携する話が進行中であると、発表した。【注】レノボ:出荷ベースで世界最大のPCメーカー。日本でもシェア1位。2004年にIBMのPC事業を買収。2011年にはNECのPC部門を買収。

 富士通は、レノボとの合弁会社にPC事業を移管し、連結対象から外すことも検討している模様。つまり、レノボが実質的に富士通のPC事業を買収する方向で検討が進んでいると推定される。

 競争力を失い、低採算のPC事業を縮小する方針は、かねてから富士通が検討してきたことだ。富士通に限らず、残念ながら日本メーカーすべてが、PC事業で競争力を失いつつある。

 2015年には、富士通・東芝・バイオ(VAIO)の3社でPC事業を統合する話が進んでいた。ところが、その話は破談となった。競争力の低下している3社で事業統合しても、先細りの懸念は払拭できなかった。

 そこで、次にどのような手を打つか、注目されていた。今回、レノボとの提携交渉が最終段階に入りつつあることがわかり、富士通の一段の構造改革が進むことが好感された。

 富士通は10年以上前から、低採算のハード部門を縮小し、ITサービスを主体に成長する会社に変わる方向の構造改革を進めてきた。半導体メモリ(DRAM)事業からの撤退や、PC事業の縮小方針は、大きな決断だった。それでもまだ構造改革は途上だ。競争力の低下しているケータイ端末などの先行きに不安がある。

 ただ、今回発表した9月中間決算で、事業展開の成果が徐々に目に見える形で表れつつある。次の成長の柱と考えているITサービス事業の成長が見えてきた。富士通は、従来、下期に利益が集中し、上半期は赤字になる傾向があった。ところが、今期は、ITサービス事業の拡大により、上半期から営業利益を計上することができた。

 まだ、構造改革が完遂したわけではないが、改革の成果が見え始めていることから、富士通を新たな投資対象として見直していい段階に入りつつあると考えている。

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