携帯ネットワークの不正利用対応には機械学習が効果的--カーネギーメロン大学が論文

Bob Violino (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎 2016年11月04日 06時00分

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 携帯電話ネットワークでは不正利用が大きな問題となっているが、機械学習がこの問題に対する解決策となるかもしれない。

 通信業界のレベニューアシュアランス(収益保証)、損失防止、不正行為のコントロールなどの推進を目的とした国際組織である、Communications Fraud Control Association(CFCA)のレポート「2015 Global Fraud Loss Survey」(2015年不正行為による損失に関する世界調査)によれば、携帯電話ネットワークの不正利用による損失は、業界全体で年間380億ドルに達すると言われている。

 CFCAによれば、不正行為を働く利用者は、PBXのハッキング、不正登録、サービスの不正利用、アカウントの乗っ取りによるサービスプロバイダーからの情報窃盗まで、さまざまな手法を用いている。

 カーネギーメロン大学のIntelligent and High-Performing Systems Labのディレクター兼電気情報工学部のアソシエートリサーチプロフェッサーを務めるOle J. Mengshoel氏は、通信業界で使用している不正利用検知アプローチでは、量と頻度のしきい値をあらかじめ設定しておく静的なルールを用いている、と述べている。

 この問題に関する論文を発表したMengshoel氏は、「これは、既知の形態に適合するタイプの不正行為しか検知できないことを意味している。不正行為の専門家は、常に新たな種類の不正行為を発見しようと取り組んでいるが、最新のサイバー攻撃の進化は、アナリストが攻撃検知ルールを設定する速度よりも速い」と述べている。

 適応型人工知能(AI)や機械学習は、これらの弱点を補い、携帯電話サービスの不正利用を減少させるのに役立つ可能性がある。

 「Facebook、Google、LinkedInなどの革新的企業は、ビッグデータと機械学習を使ったアプローチを開拓して、会員の保護や知見の獲得に利用している。新しい機械学習のアプローチでは、機械学習を大規模に適用することが、リアルタイムで異常を検知する唯一の方法だという立場からスタートする」とMengshoel氏は述べている。

 同氏によれば、教師あり機械学習と教師なし機械学習の組み合わせて、大量のデータを分析することで、数秒以内に不正利用アナリストに警告を出すことが可能になるという。

 すでに、ビッグデータによるディープパケットインスペクションと、教師ありおよび教師なしの機械学習を組み合わせて、ネットワークのアナリティクスを行い、不正利用や異常なトラフィック、その他のネットワークの挙動をリアルタイムで調べる製品が市場に出回っている。

 「本当の課題は、どのベンダーが音声ネットワークだけでなくデータプレーンでもネットワークの分析を行えるようになるかだ」と同氏は言う。「トラフィックが増えるに従い、データプレーンで不正利用が起こる頻度も高まる」

 カーネギーメロン大学とモバイル向けビッグデータおよび機械学習アナリティクス技術プロバイダであるArgyle Dataが発表した研究論文では、リアルタイム異常検知を用いることで、ほぼ瞬時に不正行為を特定できると述べられている。

 レポートでは、現在のソリューションではデータプレーンの問題を解決できず、今後データ通信利用状況の特性を明らかにすることが重要になることが示されている。通信会社のネットワークに流れるデータは膨大で、ビッグデータアナリティクス機能や、先端的な機械学習を使ってネットワークを分析できる機能は必要不可欠だ。

 Mengshoel氏と、論文の共著者であるArgyle DataのデータサイエンティストDavid Staub氏は、論文の中で、利用データに基づいて通常の通話パターンと異常な通話パターンの差異を学習する、教師あり機械学習と教師なし機械学習を組み合わせたアプローチの有効性を検証している。

 不正利用問題を解決するソリューションの登場は遅れている。論文でも指摘されているとおり、携帯電話ネットワークの不正利用や好ましくない利用は、ネットワークの利用者にとっても事業者にとってもますます大きな脅威になっており、不正利用の手口は常に進化している。レポートによれば、このような状況では、犯罪行為の特定に、洗練された、適応型のアプローチが必要となるという。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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