海外コメンタリー

ディズニー発のブロックチェーンプラットフォーム「Dragonchain」--その可能性とは - (page 2)

Joe McKendrick (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2016-11-07 06:30

 IBM Institute for Business Valueが最近発行したレポートでは、ブロックチェーンの潜在的な応用事例として暗号通貨以外のものが考察されているとともに、ブロックチェーンによって「単一所有者による情報の保持から、資産やトランザクションの完全な履歴の共有というパラダイムシフト」がもたらされると述べられている。

 同レポートは、「メッセージングをベースにした通信」を行うわけではないと記すとともに、「新たなパラダイムは状態をベースにしている。不明瞭であった情報は、今や見通しの良いものになる。台帳は共有され、トランザクションごとに更新され、関係者の間でほぼリアルタイムかつ選択的に複製される。また暗号化技術、そして/あるいはパーティショニング技術によるプライバシーの維持を実現することで、台帳の選択的な可視性を関係者にもたらせるようになる。その結果、トランザクションと、トランザクション関係者のアイデンティティの双方を隠ぺいできるようになる」と続けている。

 また同レポートは、ブロックチェーンがサプライチェーンにもたらす潜在的な影響についても考察しており、ブロックチェーンに向けた取り組みは、輸入時のデータ処理にも適用できるとしている。そして、「輸入港が、予定よりも早く船荷証券データを受け取った場合に、プライバシーについての懸念を引き起こすことなくより効率的に作業計画を策定、実行できるようになる。ブロックチェーン技術によって、出荷時間やコンテナの重量といった適切なデータをほぼリアルタイムで取得しつつ、所有者や積荷の価値といった情報を隠ぺいできるようになる。また、書類の不備による遅延や紛失という、コスト増に直結する事態を避けられるようにもなる」とも記している。

 関連する応用分野としては「物流情報の共有のほか、倉庫の空きスペースの共有からトラック運送や輸送コンテナの最適化に至るまでの幅広いアクティビティを実施するうえでの堅牢かつセキュアな取引」の可能性も含まれている。さらに「小売業者や製造業者は需要予測や在庫補充を大きく改善できる」という。金融機関はブロックチェーンを異なるかたちで活用でき、「サプライヤーの信頼性に関する詳細な追跡記録を利用することで、商取引業界のさらなる成長を促すうえで必要となる与信枠の拡大も可能になる。また規制当局は、原材料の出所をトレースできるため、偽造品の識別が容易になるとともに、汚染された材料の供給元も洗い出しやすくなる」という。

 Disneyのような大企業であれば、こういった能力をさまざまな分野で活用できるはずだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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