2つ目が農業分野での実績だ。
ここではカゴメの取り組みを紹介。ポルトガルとオーストラリアのトマト農場において、農業ビッグデータを活用した生育シミュレーションにより、収穫量や収穫時期を高精度に予測。東京ドーム10個の広さの露地栽培において最適な栽培を実現しているという。
「本来ならば、膨大な過去のデータ蓄積を前提とするが、AIを活用することで、数年かかるところを初年度から高精度な予測を実現した」という。
また、アサヒビールでは、商品種別や出荷・実売データ、気象情報、カレンダーなどのビッグデータから短期間に販売数量を予測。「AI技術と異種混合学習技術を活用することで、分析の専門家がいなくても状況の変化にあわせた予測を実現できる。アサヒビールの例では、1%の誤差という高精度で予測でき、鮮度を追求できる」とした。
また新野社長は、「製造の現場だけでなくバリューチェーン全体での変革が大切。おいしいトマトができても、トラックが来なければ鮮度が落ちる。また、加工時点でも人が配置されないと腐ってしまう。こうしたバリューチェーン全体にIoTと人工知能を活用することが、食糧不足や廃棄ロスにつながる」とした。
そのほか、インドでは、デリー・ムンバイ間の物流に関する新会社をインドのDMICDCと共同で設立し、10月1日からサービスを開始したことにも触れた。
こうした取り組みを通じて、「AIを活用することで、社会全体のバリューチェーンを見据えたデジタル産業革命をICTで強力に推進。NECは、ワンランク上の社会価値創出に貢献していく。そのためにはパートナーリングが重要。NEC C&Cシステムユーザー会には3000社以上が加盟している。こうしたパートナーとともに、社会価値創出は共創によって実現していく」と述べた。
さらに、「従来のITシステムは、実現したいことや、目的がはっきりしていたが、デジタル化においては、やりたいことがよくわからない、どこに価値があるのかわからない、あるいは共創の仕方がわからないというものが多い。NECでは、ビジネスのアイデア創出から立ち上げまで幅広くサポートするために共創プログラムを立ち上げており、NEC本社や関西支社、品川のショールームを活用して、100社以上と共創ワークショップを実施してきた。ここではアイデアの創出からただちに仮説検証を行える環境を用意している。実ビジネスでどう運用するのかといったことも含めてトータルに対応できる」とした。
最後に新野社長は、「デジタル産業革命後の世界についてもNECは考えている」とし、「2045年には、AIが人間の能力を超えると予測されている。IoT、AI、ロボティクスの浸透によって、超人間的知性の登場が見込まれる。こうした技術進歩は、人間にとっていいものでなくてはならない。だが、リクスをはらんでいるのも確かである。明るく、賢い未来が訪れること、いわば『a Brighter World』が訪れることを期待している」と語った。
NECでは、C&Cの提唱から50周年にあたる2027年に、実現すべき未来像と、そこに至るまでに解決してなくてはならない課題、その解決方法ょ有識者とともに構想するNEC未来創造会議をスタートしていることも最後に紹介した。