さらに、日本IBMによる国内クラウド事例として、基幹業務のハイブリッドクラウド事例、IaaSにおけるベアメタルサーバ活用事例、デジタルイノベーション事例、ブロックチェーン技術の活用、オープンイノベーションとハッカソンという5つの観点から説明した。
基幹業務のハイブリッドクラウド事例では、JFEスチールが、パブリッククラウドである「J-OSCloud」の構築基盤として、IBM Bluemix Infrastructureを活用するとともに、複数インフラの管理を目的にIBM Control Deskを採用。仮想マシンの構築自動化を効率よく実行するためIBM Cloud Orchestratorを採用しているという。「国内では、ここまで大規模なハイブリッドクラウド導入事例は知らない。金融分野をはじめ様々な企業が大規模ハイブリッドクラウドの導入を検討している」という。
IaaSにおけるベアメタルサーバ活用事例として、証券会社などのいくつかの導入実績を示しながら、「4大クラウドベンダーの中でベアメタルを持っているのはIBMだけ。その観点で独占とも言える状況にあり、ハイパフォーマンスコンピューティング用途ではIBMを選択する顧客が多い理由もそこにある。VMwareで構築した仕組みを、そのままベアメタル上に持っていけるという特徴もある。SoRをクラウドに移行したいという部分において、ベアメタルは威力を発揮する」とした。
デジタルイノベーション事例では、三井住友銀行や三菱東京UFJ銀行、SBI証券などが導入していることを示しながら、「すでに、Watsonの33のAPIがBluemix上で稼働。先進的サービスを採用する企業が増えており、金融系企業も積極的に取り組んでいる」としたほか、「いままでIBMのクラウドを扱っていないパートナー企業からも、Watsonを活用してみたいという声があがっている」という新たな動きについても言及した。
また、ブロックチェーン技術の活用では、金融機関におけるPoCが増えていることを示し、「バリューから入り、クラウドを適用している例が中心。これはIBMが得意とするパターンである」と発言。オープンイノベーションとハッカソンへの取り組みとしては、「クラウドサービスを訴求するだけでなく、サービスを創出する環境を整えていくことにも力を注いでいる」と語った。
また、三澤取締役専務執行役員は、IBMクラウドを取り巻くいくつかの新たな動きについても説明を行った。
オープンテクノロジへの取り組みについては、JS FoundationがLinux Foundationプロジェクトに統合。同時にオープンソースプロジェクトであったNode-REDをJS Foundationに寄贈。IBMが自社開発してきたJavaVMと、IBM SDK for Javaをオープンソース化。また、Swift 3.0の発表にあわせて、Kitura向けに、IBMクラウドで扱うSwift runtimeを最適化。APIを複数のサービスにわけて開発するmicroservice APIをサポートしていることを説明。「オープンなエコシステムを重視しており、オープンテクノロジーへの貢献を継続していく」とした。
VMwareとの提携強化については、「IBMクラウドでVMwareのソフトウェアが稼働する顧客は1000社以上になる。日本でもVMwareと連携した取り組みを加速していくことになる」とし、「VMwareは、AWSとも提携を発表したが、それが現実のものになるのは1年後である。だが、IBMはすでにレディになっている。その点が大きく異なる」と述べた。
さらに、販売チャネル拡大として、VMwareのトップディストリビュータであるソフトバンクコマース&サービスとの協業を開始することを新たに発表。
「VMwareのトップディストリビュータであるソフトバンクコマース&サービスが、IBMのクラウドパートナーとなり、VMwareとIBMとを組み合わせた提案が加速する」とした。
さらに、IBMクラウドサービスの拡充として、業界初のオブジェクトストレージサービスである「IBM Cloud Object Storage」サービスの提供、IBM Watsonを活用したクラウドビデオサービスの提供、IBM Watson Data Worksの発表などについて触れ、そのなかで、クラウドビデオサービスの活用事例を説明。「保険会社が天候情報をもとに、台風などの被害を予測。ドローンを飛ばして被害にあった家の屋根を撮影し、そのビデオをもとに、被害度合いを判断。保険金の支払額を予測するといった使い方ができる」などとした。