HANAマイクロサービス
Leukert氏はHANAの顧客として欧州宇宙機関(ESA)と再保険中心の保険会社Munich Reを紹介した。ESAはSAPのPaaS「SAP HANA Cloud Platform(HCP)」をベースとするSAP HANA Microservicesとして、ESAの衛星データにアクセスして空間処理をクラウドで行う「Earth Observation Analysis」を提供する。Munich Reはこれを利用して、リスク分析などの精度を高める。

左からMunich ReのAndreas Siebert(エクスポージャ分析・地理空間ソリューション部門トップ)、ESAのNicolaus Honowski氏(地上セグメント・オペレーション部門トップ)、SAPのBernd Leukert氏

Earth Observation Analysisのデモ。Munich ReはESAのペタバイト級の山火事や野火の衛星データに自社の顧客情報をオーバーレイし、リスクエクスポージャなどを瞬時に計算したり、山火事や自然災害予測などのことを行うという
SAP HANAを土台としたクラウドベースのマイクロサービスとしては、Earth Observation Analysisのほか、テキスト分析の「Text Analysis Entity Extraction」「Text Analysis Extraction」なども発表されている。このようなマイクロサービスと公開されている情報などを組み合わせるとさまざまなことが可能になる。「自分たちのビジネスなら何ができるのか、創造的に考えてみよう」とLeukert氏は呼びかけた。
なお会期中、フロントオフィスを受け持つSAP Hybrisの「SAP Hybris as a Service(YaaS)」を米国に続き、ドイツでも提供開始したことを発表した。Earth Observation Analysisのベータ版は、YaaSプラットフォームで無料で公開されるという。
アプリケーション構築の材料となるデータは分散化の方向にあり、分散されたデータのオーケストレーションが重要になってくる。Leukert氏はSAPが9月に買収を発表したビックデータ・アズ・ア・サービスのAltiscaleを紹介し、「高速なインテグレーションが可能になる。データライフサイクル管理、エンドツーエンドのオーケストレーションを強化できる」とメリットを説明した。
データを意味あるものにする分析分野では、「BusinessObjects Cloud」「SAP Digital Boardroom」を紹介した。ここでは、8月末にHANA向けのBusiness Warehouse(BW)である「SAP BW/4HANA」を発表、HANAによる簡素化されたデータモデル、高性能、データ処理の組み込み、Fiori UIなどの特徴を持ち、BusinessObjects Cloudでデータのコンシュームが可能となった。
Digital Boardroomでは、BW/4HANAとS/4 HANAとの組み合わせにより、SuccessFactors、Hybris、Aribaなど全てのアプリケーションとの接続を実現する。業界向けコンテンツ、LOBコンテンツを強化したほか、リテールアナリティクスを構築したPwCなどパートナーとの協業も進める。