(2)膨大なデータを処理するアーキテクチャの構築
近年、小売業では大きく2種類の分析アーキテクチャが主流だ。1つは、欧米の大手ソフトウェア企業が主に提供している「従来型のエンタープライズ向けデータウェアハウス(EDWH)」で、もう1つは「ビッグデータ処理基盤」だ。「ビッグデータ処理基盤」は、Hadoopなどを中心としたオープンソースの活用が多く見られるもので、大量の購買行動やPOSデータを、店舗オペレーション改善に使える形で即時に提供したり、今まで扱うことができなかったSNS上のデータや画像・音声データを解析し、他の分析処理に必要なパラメータとして提供することに使うことができる。
小売業は、このような武器を手に入れることで迅速な経営判断が求められるシーンでも、最新のデータを元に即座に正しい判断を下すこせるようになる。膨大なデータを即時に正確に処理できるようになればなるほど、よりタイムリーに適切なサービスを消費者に提供できるようになるだろう。
【統合化されたエンタープライズ分析プラットフォーム例】
(Accenture Seamless Technology : Unleashing an Integrated Shopping Experiencesより)
(アクセンチュア作成)
(3)データオーナーを明確に
小売業では、データオーナーが組織・業務機能ごとに暗黙で分担されている場合が多い。例えば、マーチャンダイザーは商品マスタの登録までに責任を負い、発注まで責任は負わない。また、在庫データに及んでは、店舗・倉庫・製造メーカーなど在庫データの意味合いはあれど、責任範囲は各ロケーションに閉じている場合が多い。
シームレス化に向かうためには、こうしたサイロ化されたデータマネジメントではなく、例えば、自社のシームレス化の方向性を理解・共有し、業務・ビジネスとデータフローをシームレス化の観点で横断的に管理できる“データ統括”のポジションを設立する方法も有効だろう。Chief Customer Officerや、Chief Channel Officer、Chief Marketing Officerのようなポジションが考えられる。