Kaspersky Labは、11月9日、2016年第3四半期のDDoS攻撃分析レポートを発表した。これによると、DDoS攻撃用指令サーバ数と攻撃を受けたリソース数の両方において、同年第2四半期と同様、中国、米国、韓国がトップ3という結果となった。
この観測調査には、Kaspersky DDoS Intelligenceが使われた。同システムは、指令サーバからボットに送信されるコマンドを捕捉・解析しDDoS攻撃を早期に検知する。
日本のリソースに対する攻撃は前四半期対比で1.0ポイント増加している。さらに米国は9.8ポイント、イタリアは1.0ポイント増加している。中国と韓国に対する攻撃はそれぞれ8.7ポイント、2.3ポイント減少した。最も多く攻撃されたのは、中国で人気の検索エンジンで、19回におよび、最長の攻撃は184時間にわたった。
DDoS攻撃の指令サーバーが設置された国別割合トップ10 2016年第3四半期と2016年第2四半期の比較)
DDoS攻撃を受けたリソースの国別割合トップ10 (2016年第3四半期と2016年第2四半期の比較)
欧州では、イタリアとドイツが、1年ぶりに指令サーバが設置された国トップ10に入り、関連する動向として、英国、フランス、オランダの指令サーバ数も増加している。また、攻撃手法では、SYN-DDoSの攻撃数が5.5ポイント増加し全体の81%を占めた。一方、TCP-DDoS攻撃は8.2%、ICMP-DDoS攻撃は1.66%とそれぞれ低下している。
同レポートによると、Linuxベースのボットネットによる攻撃は、Windowsベースの攻撃と比べ増加傾向にある。第3四半期は、過去1年間で最高の79%の増加となった。Kaspersky Labでは、この現象は、LinuxベースのIoTデバイスがDDoS攻撃に利用されるケースが増えていることが影響しているとしている。
トネット指令サーバが設置された国別の割合(2016年第3四半期)
Kaspersky Labでは、ユーザーとウェブリソースの接続が、従来のHTTPからHTTPSへと移行している中、暗号化ベースの攻撃は増加の一途をたどると考えられるとし、開発者はDDoS対策の保護手段の見直しに早急に着手する必要があると指摘している。